新車生産は3カ月ぶり増加も明暗分かれる、認証不正や品質問題が背景自動車メーカー生産動向(1/3 ページ)

乗用車メーカー8社の2024年4月の世界生産台数は、8社合計が3カ月ぶりに増加したが、各社で明暗が分かれた格好だ。国内生産では、能登半島地震による部品供給の影響に加えて、ダイハツ工業の認証不正、トヨタ自動車の品質問題、SUBARUの工場事故などが減産要因となった。

» 2024年06月27日 06時00分 公開
[MONOist]

 乗用車メーカー8社の2024年4月の世界生産台数は、8社合計が3カ月ぶりに増加したが、各社で明暗が分かれた格好だ。国内生産では、能登半島地震による部品供給の影響に加えて、ダイハツ工業の認証不正、トヨタ自動車の品質問題、SUBARU(スバル)の工場事故などが減産要因となった。一方、海外は引き続き好調な北米がけん引している。また、トヨタやホンダ、マツダなどで型式指定申請に関する不正行為が発覚。一部現行車種も生産停止となる事態に発展しており、今後の国内生産の不安材料となっている。

 8社合計の世界生産は、前年同月比1.3%増の192万5501台だった。国内生産は、同10.3%減の61万227台で、4カ月連続のマイナスと低調だ。ホンダ、スズキ、日産自動車、三菱自動車の4社はプラスを確保した。

 国内の低迷が続く一方で、海外生産は好転した。前年同月比7.8%増の131万5274台と3カ月ぶりに前年実績を上回った。中国が大幅減となったトヨタを除く7社が増加した。市場が堅調な北米は2カ月ぶりの増加。中国は各社でバラつきが目立ったが3カ月連続のマイナスだった。

2024年4月の国内乗用車メーカーの生産実績
国内 海外 (うち北米) (うち中国) 合計
トヨタ 251,485 504,769 187,866 106,352 756,254
▲ 7.9 ▲ 1.9 15.7 ▲ 24.9 ▲ 4.0
ホンダ 57,196 259,483 138,175 81,076 316,679
24.8 13.8 14.4 10.1 15.7
スズキ 86,668 187,473 - - 274,141
18.3 14.2 - - 15.4
日産 54,478 209,830 104,839 51,844 264,308
▲ 9.8 16.8 27.5 9.2 10.1
マツダ 63,136 39,263 27,677 6,559 102,399
▲ 13.2 29.0 55.9 ▲ 14.2 ▲ 0.8
スバル 41,852 32,847 32,847 - 74,699
▲ 20.1 19.6 19.6 - ▲ 6.4
ダイハツ 21,317 51,036 - - 72,353
▲ 69.0 12.8 - - ▲ 36.5
三菱自 34,095 30,573 - 0 64,668
0.4 0.3 - - 0.3
合計 610,227 1,315,274 491,404 245,831 1,925,501
▲ 10.3 7.8 19.7 ▲ 9.1 1.3
※上段は台数、下段は前年比増減率。単位:台、%
※北米は、米国、カナダ、メキシコの合計

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トヨタ自動車

 メーカー別に見ると、トヨタの4月のグローバル生産台数は、前年同月比4.0%減の75万6254台と3カ月連続のマイナスだった。このうち稼働停止が相次いだ国内生産は、同7.9%減の25万1485台と3カ月連続の前年割れとなった。

 具体的には、「プリウス」で後席ドアハンドルの電気式スイッチ「e-ラッチ」の不具合が判明し、プリウスや「カローラ」などを生産する堤工場(愛知県豊田市)第1ラインを2024年4月4日から停止した。18日にはカローラの生産を再開したものの、プリウスは6月まで稼働停止することになった。さらに「ノア/ヴォクシー」や「アルファード/ヴェルファイア」を生産するトヨタ車体の富士松工場(愛知県刈谷市)第2ラインも、生産工程の確認のため、4月9日から17日まで生産を停止。どちらの工場も主力車種を生産するだけに、納期など国内販売への影響も大きそうだ。

 また、トヨタは2024年6月3日、型式指定申請の手続きで不正行為があったと発表した。現行生産モデルの3車種、過去に生産した4車種の計7車種が該当した。トヨタは法規に定められている性能に問題ないことを確認しているとしているが、同日から現行モデルの該当車である「ヤリスクロス」「カローラフィールダー」「カローラアクシオ」の出荷を止め、6日には生産も停止。出荷生産の再開のめどは立っていない。

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