AL Labサービス適用第1号となるのがシナノケンシがアクセルスペースと2020年から共同開発を進めてきた、人工衛星の方向を変化させる姿勢制御に用いられるモーター部品のリアクションホイールである。シナノケンシ 代表取締役社長の金子行宏氏は「当社は、『小』『軽』『静』を特徴とするモーターをASPINAというブランドの下で展開してきた。これらの特徴は宇宙でも生かせると考えており、2020年からアクセルライナーとともにリアクションホイールを開発してきた。2024年9月には地上実証品が完成、同年12月には製品開発を完了させる計画である」説明する。
シナノケンシは、リアクションホイールのシェア10%、リアクションホイールなど宇宙関連事業の売上高100億円を早期に達成する目標を掲げている。その実現のためには、宇宙関連事業で提供する製品の技術熟成度を高める必要がある。今回のAL Labサービス適用第1号として、同社のリアクションホイールが選ばれたのはその一助とするためだ。
なお、シナノケンシとしては、2024〜2026年にかけてリアクションホイールの軌道上実証を米国と日本で実施する予定だ。AL Labサービスを用いるのは100kg級の製品で、より大型の200kg級と300kg級については、他サービスを利用することになる。
なお、100kg級リアクションホイールのサイズは15cm角となっており、専有スペースは2Uに相当する。このAL Labサービス第1号案件では、アクセルスペースが自身で打ち上げる小型衛星を用いて実施するミッションと相乗りする形になる。第2号案件以降については、複数の顧客を集めてAL Labサービス用の衛星を打ち上げて軌道上実証サービスを提供する方針だ。「既にポテンシャルのある案件が幾つか集まっており、政府の施策にも対応していきたい」(中村氏)という。
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