宇宙グレード部品の開発活性化へ、アクセルスペースが軌道上実証サービスを提供宇宙開発(2/3 ページ)

» 2024年07月18日 06時30分 公開
[朴尚洙MONOist]

実証機会の提供は年4回が当面の目標、TRL9の認証取得も可能に

 定期的な実証機会の提供については年複数回としている。中村氏は「当面は年4回を目標に、実証機会の回数を順次増やしていきたい」と述べる。また、実証機器開発が何らかの理由で遅延する場合にも、他の実証機会に変更する「リマニフェスト」の権利の有償提供によって対応する方針だ。搭載可能条件は6U〜180Uと幅広く、顧客が求めるレイアウト制約や大電力供給、折り畳みなどの伸展構造についても、アクセルスペース側で検討し、可能な範囲で対応するとしている。

定期的な実証機会の提供 定期的な実証機会の提供[クリックで拡大] 出所:アクセルスペース

 衛星搭載に向けた支援では、AxelLinerにおいて衛星の開発と製造、試験を進め、打ち上げ後の運用も担うプラットフォーム「AxelLiner Terminal」の提供により、効率的な案件管理を行えるようにする。衛星搭載前には、実証機器と衛星バスシステムの通信テストを模擬的に行えるエミュレータを提供し、実機テストで手戻りの発生を可能な限り減らせるようにする。これらの他、カメラや温度計を用いて実証機器に関する詳細なデータを取得するサービスもオプションで提供したい考えだ。

衛星搭載に向けた支援 衛星搭載に向けた支援[クリックで拡大] 出所:アクセルスペース

 実証期間は最長で1年間を想定している。実証結果のレビューでは、実証機器に合わせた軌道上データの提供やアクセルスペースのエンジニアよるレビューなどをオプションで提供する。TRL認証や販売支援もオプションとなっている。なお、TRL認証については、実際の運用にある程度近い条件において宇宙機システムの一部として機能したことが目安となる「TRL7」と、実際の運用条件の定常運用状態において宇宙機システムの一部として技術仕様で規定する機能/性能を実証したことになる「TRL9」に相当する認証を行うための軌道上テスト項目を用意している。TRL7は開発フェーズの製品(プロトタイプ)が、TRL9は宇宙機の実機に搭載する製品が対象となる想定だ。

実証結果のレビュー 実証結果のレビュー[クリックで拡大] 出所:アクセルスペース
TRL認証付与 TRL認証付与[クリックで拡大] 出所:アクセルスペース

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.