商用から個人ユースまで4つのグレードを用意した。4人乗りは、スタンダードな仕様「e:L4」と、趣味やレジャーにもなじむスタイリングとした上級グレードの「e: FUN」を展開する。e: FUNはLEDヘッドライトを採用した他、急速充電を標準装備としている。
商用ユースの「e: G」は、ドライバー1人のみの利用を想定。より長尺の荷物も積めるよう助手席側ダッシュボードの形状を工夫し、ガソリンエンジン車のN-VANと比べて室内長を95mm伸ばした。また、4人乗りのグレードと比較してフロア高は120mm下げている。運転席と運転席側の後部座席の2人乗りとなる「e: L2」も用意した。
商用ユースの2グレードはリース販売で、ホンダ 法人営業部と新車オンラインストアのHonda ONでのみ取り扱う。4人乗りの2グレードは全国のホンダ販売店でも展開する。
ガソリンエンジン車のN-VANが法人から「ややトゥーマッチ」と評価されてきたことを受けて、N-VAN e:は装備を抑えたシンプルなグレードを用意。急速充電の有無からインテリアのドアポケットまで、必要な装備をユーザーが選んで購入できるようにした。また、車両としての安さだけでなく、配送拠点のエネルギーマネジメントや、EVの蓄電池としての活用なども含めて提案することで、競合他社との差別化をはかる。
運転支援システム「ホンダセンシング」など安全装備も充実させた。軽商用バンとしては初めてサイドエアバッグやサイドカーテンエアバッグを搭載し、乗用車並みの装備とした。また、軽自動車としては初めて、衝突後ブレーキシステムを採用した。エアバッグシステムが衝突を検知すると、電動サーボブレーキシステムで減速するとともに、ストップランプを作動させる。衝突後も止まらずに多重衝突を引き起こすことを防ぐ。
会員制サポートサービス「ホンダトータルケア」のIDを取得すれば、充電状況を管理できる「ホンダコネクト」も無料で利用できる。寒冷時の出発前にバッテリーを温める「お出かけ前タイマー設定」、外部給電の使いすぎを防止する「外部給電下限SOC設定」、電気代の安い時間に充電を開始する「充電待機時間設定」、充電量の上限を設定してバッテリーの負荷を抑える「最大充電量設定」、電力会社との契約内容に合わせて電流量の上限を設定する「最大電流量設定」、スマートフォンから充電状態を確認できる「充電状態リモート表示」などを提供する。
外部給電機能も利用できる。出力1500Wまで利用できる「ホンダパワーサプライコネクター」や、6000Wや9000Wの高出力に対応した「パワーエクスポーター」、V2H(Vehicle to Home)によって、用途に応じて外部給電を行える。
フロントグリルには、バンパーのリサイクル材を使用した。これまでは回収したバンパーの塗装を落とす工程で塗膜がわずかに残ることから、アンダーカバーなど人目に触れない部位でバンパーのリサイクル材を使ってきた。今回はあえてボディーカラーの名残が見えるようにしてフロントグリルに採用している。「リソースサーキュレーション」のロゴも見える部分に配置し、リサイクル材であることをアピールする。
ホンダはグローバルでEVとFCV(燃料電池車)を合わせた販売比率を2040年に100%とすることを目指している。このため、2030年までにグローバルでEV30機種を展開するとともに、年間のEV生産台数を200万台以上とする計画だ。日本では、N-VAN e:の後にも2025年に軽乗用車タイプのEVを投入し、2026年以降もコンパクトEV2機種を展開していく。ホンダ 統合地域本部 日本統括部 統括部長の高倉記行氏は、「日本でEVナンバーワンのポジションを築くことが目標だ」とコメントした。
日本でのEV本格展開が軽商用バンタイプからスタートするのは、配送などの商用でEV化に対する需要が顕在化していたことが背景にある。需要があるからこそスタートダッシュを切りやすいとみている。業務で日々の走行距離が長く、耐久性も求められる軽商用EVで評価や信頼を得ることで、乗用車ユーザーにもEVに対して安心感を持ってもらいたい考えだ。
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