大日本印刷は、福岡県北九州市の黒崎工場内に新設した有機EL(OLED)ディスプレイ製造用メタルマスクの生産ラインの稼働を2024年5月に開始した。
大日本印刷(DNP)は2024年6月12日、福岡県北九州市の黒崎工場内に新設した有機EL(OLED)ディスプレイ製造用メタルマスクの生産ラインの稼働を同年5月に開始したと発表した。
新ラインでは、各種IT機器で導入が進んでいるOLEDディスプレイのうち、生産効率を高める第8世代(G8)サイズのガラス基板に対応した大型メタルマスクを生産する。今後は、需要などを加味しながら、黒崎工場の設備を順次増強していく考えだ。
近年、スマートフォンやタブレット端末、ノートPC、モニターなどのIT製品でOLEDディスプレイの導入が広がっている。これらの市場ではディスプレイ大型化のニーズが特に高まっている。これを受けて、OLEDパネルメーカー各社は、現在の第6世代(G6)サイズよりも生産効率が高いG8のガラス基板での量産を推進している。
そこで、DNPは黒崎工場の新ラインで、こうした大型化のニーズを先取りしていく形で、G8サイズに対応したメタルマスクの生産体制を構築した。
同社は、今回の黒崎工場の新ライン稼働開始で、事業継続計画(BCP)をより推進し、メタルマスクの既存の生産拠点である三原工場(広島県)のバックアップを可能とする。加えて、黒崎工場の本格稼働によって、メタルマスクの生産能力を従来の2倍とする予定だ。
OLEDディスプレイで色鮮やかな映像を映し出すには、光の3原色のそれぞれを自ら発光する有機材料をディスプレイ用の基板上(ガラスまたはフィルム)に精密/正確に配置させることが重要だ。
DNPが独自のフォトリソグラフィやエッチングの技術を生かし、薄い金属板に微細な孔を精密/正確に開けたメタルマスクは、この有機材料を基板に配置する工程で使用する。真空状態の装置内で有機材料を蒸発させ、基板上に定着させて薄膜を形成する「蒸着」の工程で、メタルマスクによって光の3原色であるRGB各色を塗り分けている。DNPは2001年にメタルマスクの開発を開始し、現在はスマートフォン向けを中心に世界トップシェアを獲得している。
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