誤差やばらつきをAIが補正する高精度インクジェット製造技術を開発材料技術

エレファンテックは、個別の誤差やばらつきをAIが学習して補正する高精度インクジェット製造技術「NeuralJet」を開発した。2025年4月から、同技術を用いたプリント基板の量産を開始する。

» 2024年06月14日 11時00分 公開
[MONOist]

 エレファンテックは2024年5月28日、個別の誤差やばらつきをAI(人工知能)が学習して補正する高精度インクジェット製造技術「NeuralJet」を発表した。2025年4月から、同技術を用いたプリント基板(PCB)の量産を開始する。

 従来の高精度インクジェット技術は、インクの着弾位置を1滴単位で5μm以下の誤差に制御するため、特殊な設計のピエゾチップが必要だった。

 NeuralJetは、汎用ピエゾチップを用いて高精度にインクを吐出できる。流体制御と機械制御は、どちらもAIがモデル化しやすいように最適化しており、印刷動作やノズル個性など、さまざまな誤差の要因を全て単一のAIモデルで学習する。誤差を個別にモデル化しないことで軽量化を図り、ローカルの計算資源で動作可能にした。

 また、ノズル状態をAIが判断し、最適な吐出パス設計を導き出すため、ノズル数が増えても対応できる。全体の約2%のノズルが正しく動かない状態でも、20μmの液滴を40μmの溝や井戸に100%着弾でき、平均着弾位置の誤差は2μm以下だ。

(左)直径40μm円形井戸への充填と3D撮像、(右)40μm幅の円形溝への充填と3D撮像 (左)直径40μm円形井戸への充填と3D撮像、(右)40μm幅の円形溝への充填と3D撮像[クリックで拡大] 出所:エレファンテック
同じ印刷機による印刷結果比較。左が「NeuralJet」有り 同じ印刷機による印刷結果比較。左が「NeuralJet」有り[クリックで拡大] 出所:エレファンテック

 ヘッド交換やメンテナンスはモデルアップデートのみで、人による機械的な調整が不要だ。また、作業者の経験値にかかわらず、一定精度のPCBを量産できる。

 同社は今後、PCB以外に半導体後工程やディスプレイなどの製造プロセスにもNeuralJetを適用していく。

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