「自分専用エージェントとの出会い」では、生成AIによって登場したAIエージェントが単に作業を効率化するだけでなく、人間の可能性を広げ、人間に寄り添うパートナーになり得るとする。ChatGPTをはじめ生成AIの活用を進めている日本だが、その用途のトップ3は業務効率化であるのに対し、米国ではアイデアの生成という新たな可能性を広げる用途が1位になっている。山根氏は「生成AIを作業効率向上だけで使うとその可能性を矮小化してしまう」と説明する。
実際に人間の強化/拡張や、AI同士の相互学習など、生成AIの可能性を広げる事例がOpen AIやGoogleなどの先行企業から多数発表されている。また、複数のAIエージェントが連携して高度なタスクをこなすフレームワークも続々とオープンソース化されるなど、生成AIの可能性の拡大はとどまることを知らない。
この生成AIの活用では、企業の経営側が「現場の理解が不足している」と考える一方で、実は現場側は既に使いこなし始めているというギャップが生まれている。アクセンチュア日本法人は、自社内でこのような状況に陥らないようにするため、生成AIのある風景を日常化するための取り組みとして生成AIのアプリストア「PeerWorker Platform」を全社に公開したり、プログラミングをコーチできる生成AIを開発したりしている。さらに山根氏は、AIと人間との新しい向き合い方として、自身をモデルにしたAIエージェントの「山根バディ」を披露し、その可能性を示して見せた。
「私たちが必要とする空間」でテーマとなるのは空間コンピュータだ。PC、モバイルは、パーソナルな空間にコンピュータを取り入れ、自在に持ち運べるようにしたが、空間コンピュータはパーソナル空間自体が拡張し、自由に持ち運べるようになるという。
今回は空間コンピュータと呼んでいるものの、これまでにテクノロジービジョンでもトレンドとして取り上げてきたVR(仮想現実)/AR(拡張現実)やメタバースと方向性は同じであり、企業向けを中心に本格的な市場への浸透が進んでいないのが実情だ。ただし、米国では10代の33%がVR機器を所有し、そのうち13%は週に1回以上利用しているという調査もあり、将来を担うZ世代の期待値は高まっているとする。
空間コンピュータの最先端の事例となるのがアップルの「Apple Vison Pro」である。その圧倒的な高感度、高解像度により、潮目を変えつつある。また、デジタル空間におけるコンテンツ生成の自動化では、ここまでも何度も取り上げてきた生成AIの活用が可能だ。
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