「マイコンでAI」に現実味、Armとともに可能性を追求へ : 人工知能ニュース (2/2 ページ)
ルネサスは、RA8シリーズを筆頭に、RA6/RA4/RA2シリーズなど同社のArmマイコンを用いたAIのデモ展示を披露した。
RA8シリーズは、Armのマイコン向けプロセッサコアでフラグシップとなるCortex-M85を採用しており、Heliumによって高度なAI機能を組み込めるため、画像認識に対応できることが大きな特徴となっている。前回の小さく始めるAIパビリオンでは、パートナー企業であるPlumeraiのカメラ人物検知ソリューションを展示したが、今回はNota AIが提供するドライビングモニタシステムが加わった。登録ドライバーの識別の他、注意散漫や眠気、携帯電話の使用を検知し、ドライバーに注意を促すなどの対応を行える。Plumeraiのカメラ人物検知ソリューションと同様に、汎用マイコン単体としては高速な10fps以上の処理速度を実現できている。
「RA8シリーズ」とNota AIによるドライビングモニタシステムのデモ[クリックで拡大]
モーター制御用マイコン「RA6T2」を用いたデモでは、電流などの信号情報からフローリングや絨毯など床タイプを自動検出して掃除機ヘッドの回転数を制御するAI機能を紹介した。2022年7月に買収したReality AIのAI開発ツールによってアルゴリズムを自動で作成し、開発環境の「e2studio」で実装できる手軽さも特徴となっている。なお、前回の小さく始めるAIパビリオンでは、同じ組み合わせでモーターの故障検知デモを披露したが、よりAIを組み込んだ製品開発をイメージできるように展示内容を変更したという。
床面タイプを判別して掃除機ヘッドの回転数を制御するデモ[クリックで拡大]
エイシングは、同社の軽量エッジAIアルゴリズム「MST」や異常検知アルゴリズム「MSAT++」のデモを披露した。
MSTやMSAT++は、Cortex-Mシリーズを搭載するマイコンやkBオーダーのメモリ容量で動作可能なことを特徴としており、小さく始めるAIパビリオンにおける“小さく始める”ソリューションを中核とするAIスタートアップである。
MSTやMSAT++は、マイコンにも組み込み可能なだけでなく、周辺環境の変化に合わせた追加学習によってAIモデルをアップデートできることも強みになっている。例えば、STマイクロのCortex-M4を搭載する「STM32G4シリーズ」を用いたMSAT++の小型ファン異常検知デモでは、最初はファンに手を当てて風の流れを遮ると赤色LEDの点灯で異常を示すところを、ファンに手を当てた状態が異常でないことを追加学習すれば、再びファンに手を当てても赤色LEDは点灯しないようになる。この追加学習は、ボード上のボタンを押しながら数秒行うだけで完了するという手軽さだ。
MSAT++の小型ファン異常検知デモ。追加学習後には、ファンに手を当てても赤色LEDが点灯しない[クリックで拡大]
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エッジであれエンドポイントであれ今こそ現場にAIを実装すべし
2023年に大きな注目を集めた生成AIは、膨大なパラメータ数とあいまってAIモデルをクラウド上で運用することが一般的だ。2024年は、AIモデルを現場側に実装するエッジAIやエンドポイントAIを活用するための技術が広く利用できるようになるタイミングになりそうだ。
「マイコンでAI」、STマイクロNXPルネサスが競演
「第7回 AI・人工知能EXPO 【春】」の「小さく始めるAIパビリオン」に、STマイクロエレクトロニクス、NXPセミコンダクターズ、ルネサス エレクトロニクスが出展し、マイコンによるAI活用をテーマにしたデモ展示を披露した。
最新コア「Cortex-M85」を採用、ArmがIoT機器開発期間短縮ソリューションを拡充
ArmがIoT機器の開発期間を大幅に短縮する包括的ソリューション「Arm Total Solutions for IoT」のラインアップを大幅に強化すると発表。同ソリューションの検証済み統合型サブシステム「Arm Corstone」に、新たなマイコン用プロセッサコア「Cortex-M85」を中核とする「Corstone-310」などを追加している。
Armが提唱する「エンドポイントAI」の処理性能は従来比で最大480倍に
Armがマイコン向けプロセッサコアIP「Cortex-Mシリーズ」の最新プロダクト「Cortex-M55」と、Cortex-Mシリーズとの組み合わせにより機械学習ベースの推論アルゴリズムを効率的に実行できるNPU「Ethos-U55」を発表。Cortex-M55とEthos-U55を組み合わせた場合、現行の「Cortex-M33」と比べて推論アルゴリズムの処理性能は最大480になる。
パナソニックの電動アシスト自転車にエッジAI機能を提供
STマイクロエレクトロニクスの「STM32F3」マイコンとエッジAI開発ツール「STM32Cube.AI」が、パナソニック サイクルテックの電動アシスト自転車「ティモ・A」に採用された。
マイコンでCBMを実現する異常検知アルゴリズム、逐次学習による高精度化も
エイシングは、機器の状態を監視しながらメンテナンス時期を決定するCBM向けの異常検知アルゴリズム「MSAT++」を開発したと発表した。モデルサイズは数KBと省メモリであるとともに、正常データからモデルを構築しての異常検知が可能で、逐次学習によりモデルの精度を向上できることなどが特徴となっている。
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