ルネサスは、RA8シリーズを筆頭に、RA6/RA4/RA2シリーズなど同社のArmマイコンを用いたAIのデモ展示を披露した。
RA8シリーズは、Armのマイコン向けプロセッサコアでフラグシップとなるCortex-M85を採用しており、Heliumによって高度なAI機能を組み込めるため、画像認識に対応できることが大きな特徴となっている。前回の小さく始めるAIパビリオンでは、パートナー企業であるPlumeraiのカメラ人物検知ソリューションを展示したが、今回はNota AIが提供するドライビングモニタシステムが加わった。登録ドライバーの識別の他、注意散漫や眠気、携帯電話の使用を検知し、ドライバーに注意を促すなどの対応を行える。Plumeraiのカメラ人物検知ソリューションと同様に、汎用マイコン単体としては高速な10fps以上の処理速度を実現できている。
モーター制御用マイコン「RA6T2」を用いたデモでは、電流などの信号情報からフローリングや絨毯など床タイプを自動検出して掃除機ヘッドの回転数を制御するAI機能を紹介した。2022年7月に買収したReality AIのAI開発ツールによってアルゴリズムを自動で作成し、開発環境の「e2studio」で実装できる手軽さも特徴となっている。なお、前回の小さく始めるAIパビリオンでは、同じ組み合わせでモーターの故障検知デモを披露したが、よりAIを組み込んだ製品開発をイメージできるように展示内容を変更したという。
エイシングは、同社の軽量エッジAIアルゴリズム「MST」や異常検知アルゴリズム「MSAT++」のデモを披露した。
MSTやMSAT++は、Cortex-Mシリーズを搭載するマイコンやkBオーダーのメモリ容量で動作可能なことを特徴としており、小さく始めるAIパビリオンにおける“小さく始める”ソリューションを中核とするAIスタートアップである。
MSTやMSAT++は、マイコンにも組み込み可能なだけでなく、周辺環境の変化に合わせた追加学習によってAIモデルをアップデートできることも強みになっている。例えば、STマイクロのCortex-M4を搭載する「STM32G4シリーズ」を用いたMSAT++の小型ファン異常検知デモでは、最初はファンに手を当てて風の流れを遮ると赤色LEDの点灯で異常を示すところを、ファンに手を当てた状態が異常でないことを追加学習すれば、再びファンに手を当てても赤色LEDは点灯しないようになる。この追加学習は、ボード上のボタンを押しながら数秒行うだけで完了するという手軽さだ。
エッジであれエンドポイントであれ今こそ現場にAIを実装すべし
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マイコンでCBMを実現する異常検知アルゴリズム、逐次学習による高精度化もCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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