「マイコンでAI」に現実味、Armとともに可能性を追求へ人工知能ニュース(1/2 ページ)

「第8回 AI・人工知能EXPO 【春】」の「小さく始めるAIパビリオン」に、Arm、STマイクロエレクトロニクス、ルネサス エレクトロニクス、AIスタートアップのエイシングが出展し、マイコンを用いたAI活用に関する展示を披露した。

» 2024年05月27日 06時30分 公開
[朴尚洙MONOist]

 「第8回 AI・人工知能EXPO 【春】」(2024年5月22〜24日、東京ビッグサイト)の「小さく始めるAIパビリオン」に、Arm、STマイクロエレクトロニクス、ルネサス エレクトロニクス、AI(人工知能)スタートアップのエイシングが出展し、マイコンを用いたAI活用に関する展示を披露した。

 2023年5月の「第7回 AI・人工知能EXPO 【春】」に続いて、今回も行われた小さく始めるAIパビリオン。前回参加のNXPセミコンダクターズに替わって参加したのが、プロセッサIPベンダーのArmである。スマートフォン向けプロセッサコア「Cortex-Aシリーズ」のイメージが強い同社だが、「Cortex-Mシリーズ」が広く採用されているマイコンでも大きな存在感を発揮している。実際に、小さく始めるAIパビリオン内の展示でSTマイクロ、ルネサス、エイシングが使用していたのはCortex-Mシリーズ搭載のマイコンという共通点がある。

 Armは、Cortex-Mシリーズ搭載マイコンをベースにAIの開発が可能なことをうたう各社の評価ボードを展示していた。中でも目玉にしていたのは、DSP(デジタル信号処理)やML(機械学習)アルゴリズムに最適なベクター演算処理技術「Helium」を搭載する「Cortex-M85」や「Cortex-M55」を採用する製品だ。これまでHelium搭載製品というと、ルネサスの「RA8シリーズ」が代表だったが、今回は2024年4月にインフィニオン テクノロジーズが発表したばかりの「PSOC Edge E84」も展示していた。

Armの「小さく始めるAIパビリオン」の展示 Armの「小さく始めるAIパビリオン」の展示。左上にあるのが「Helium」搭載製品だ[クリックで拡大]

STマイクロのマイコンで電動アシスト自転車のAI機能を実現

 STマイクロが「マイコンでAI」の採用事例として展示したのが、パナソニック サイクルテックの電動アシスト自転車「ティモ・A」である。ティモ・Aは、モーターの回転数やスピードセンサーの情報を基に、AIアルゴリズムでタイヤの空気圧を推定し、空気圧センサー無しで空気入れタイミングの目安を液晶スイッチに表示するAI機能を搭載している。

「マイコンでAI」の採用事例となるパナソニック サイクルテックの電動アシスト自転車「ティモ・A」 「マイコンでAI」の採用事例となるパナソニック サイクルテックの電動アシスト自転車「ティモ・A」[クリックで拡大]

 パナソニック サイクルテックはこれまでも、電動アシスト自転車のモーター制御にSTマイクロのマイコンを採用していた。今回のAI機能の開発では、STマイクロが提供するエッジAI開発ツール「STM32Cube.AI」を活用しており、「Cortex-M4」を搭載する「STM32F3シリーズ」の内蔵メモリに組み込む形で、大きな設計変更を行うことなくAI機能を新たに搭載することができたという。

「ティモ・A」のモーター制御ユニット 「ティモ・A」のモーター制御ユニット[クリックで拡大]

 この他STマイクロは、32ビットマイコンファミリー「STM32」でBluetooth通信機能を搭載する製品と、STM32向けに機械学習ライブラリを生成するツール「NanoEdge AI Studio」を用いて、モーターの異常検出のAIモデルをオンデバイスで学習するデモも行っていた。

モーター異常検出AIモデルのオンデバイス学習デモ モーター異常検出AIモデルのオンデバイス学習デモ[クリックで拡大]
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