「充電が長持ちするリチウムイオン電池」を目指し阪大の山田教授と共同研究を開始研究開発の最前線

3DCはリチウムイオン電池向け高濃度電解液の研究において日本有数の実績を持つ大阪大学産業科学研究所 教授の山田裕貴氏と2024年4月から共同研究を開始している。

» 2024年05月27日 08時30分 公開
[遠藤和宏MONOist]

 3DCは2024年5月24日、リチウムイオン電池向け高濃度電解液の研究において日本有数の実績を持つ大阪大学産業科学研究所 教授の山田裕貴氏と同年4月から共同研究を開始したと発表した。

 今回の共同研究を通して、1回の充電で従来よりも長時間使える高容量なリチウムイオン電池の開発に向けて検討を進める。

共同研究の内容

 リチウムイオン電池は、主に電極、セパレータ、電解液から構成されている。電解液とは、有機溶媒にリチウム塩を溶解させたものだ。リチウム塩の濃度をある程度まで高くした「高濃度電解液」は、電圧が高い環境でも分解されにくいことが知られている。

 リチウムイオン電池は充電電圧が高いほど容量が大きくなるため、高濃度電解液は、高容量化に重要な役割を果たすと考えられている。しかし、電解液が高電圧化に対応できても、導電助剤などのその他の材料が対応できなければ効果を発揮できない。実際、従来の導電助剤は電圧が高いと劣化しやすいため、電圧が高くても耐えられる導電助剤が求められていた。

 そこで、山田氏が開発した最先端の高電圧向け電解液と、3DCの次世代炭素材料「グラフェンメソスポンジ(GMS)」を用いた導電助剤用GMSを組み合わせることで、リチウムイオン電池のさらなる高容量化を目指す。導電助剤用GMSは「化学的な劣化に強い」「弾性変形により電極の構造変化を吸収するため、電極の劣化を抑えられる」という特徴があることから、高電圧リチウムイオン電池の実現に貢献できると期待している。

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