熱電モジュールを用いた電池レスIoTモジュールを実証実験製造業IoT

i Smart Technologiesは、熱電モジュール「ProVo」を使用した電池レスIoT通信モジュールの実証実験を行った。エネルギーの効率向上と、IoT機器の電池交換の工数低減を目的とする。

» 2024年05月16日 14時00分 公開
[MONOist]

 i Smart Technologiesは2024年4月19日、アイシン高丘が販売する熱電モジュール「ProVo」を使用した、電池レスIoT(モノのインターネット)通信モジュールの実証実験について発表した。

 ProVoは熱を電気に変換する熱電モジュールで、センサーや無線モジュールの動作が可能だ。耐熱性や耐久性に優れた安全、安心な熱電材料を使用している。i Smart Technologiesは、エネルギー効率の向上とIoT機器の電池交換の工数を低減するため、乾電池以外の電源の候補としてProVoの実証実験を実施した。

キャプション 熱電モジュールの概要図[クリックで拡大] 出所:i Smart Technologies

 実験では、熱電モジュールをi Smart Technologiesの親会社である旭鉄工の製造ラインに取り付けてIT機器の動作を確認した。熱源温度が60℃以上、周囲温度は常温程度、設置場所は水平で熱源モジュールに効率良く熱を伝えられるなど、実験しやすい製造ラインを選定した。

 機器構成を検討し、熱電モジュールからの電気を昇圧、蓄電する変換基板を製作してIoT機器と接続した。IoT機器はセンサーからの電気信号を変換し、無線マイコンを使ってゲートウェイに送信する。

キャプション 実験機器の構成。左:IoT機器、中央:変換基盤、右:熱電モジュール[クリックで拡大] 出所:i Smart Technologies
キャプション 熱電モジュールを製造ラインに取り付けた様子[クリックで拡大] 出所:i Smart Technologies

 実験結果から、IoT機器の通信回数が少ない条件下や、製造ラインが稼働している間は問題なく動作した。しかし、製品のサイクルタイムが短い製造ラインや、週末に完全に放電してしまった場合の再充電には課題が残る。現システムはユーザーの製造ラインの環境を選ぶが、ユーザーの要望に応じて採用を検討していく。

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