デジタルツインを実現するCAEの真価

Simulation Governanceの体制カテゴリー「組織的対応」と「組織活性化」の診断結果シミュレーションを制する極意 〜Simulation Governanceの集大成〜(11)(2/3 ページ)

» 2024年05月15日 08時00分 公開
[工藤啓治MONOist]

体制カテゴリーの「組織活性化」に着目

 続いて、「組織活性化」サブカテゴリーを見ていきましょう。

D6「社内情報と事例共有」

 D6「社内情報と事例共有」の設問は、“社内での技術向上活動や事例の共有を行っていますか?”です。そこそこの正規分布がベースですが、Level 5の“優れた発表活動に対して、社内評価を行う文化がある”の診断が4件もあるのは注目すべきでしょう。コメントでは「定期的に、報告会や技術交流会といった場が設定されている」との回答も見られました。しかし、その一方で「技術情報共有の仕組みは陳腐化、形骸化している」というコメントもあり、コミュニケーションの仕方や中身の品質などのアップデートに工夫を凝らすことの難しさも示されています。

D7「社外発表」

 D7「社外発表」の設問は、“社外向け技報や業界紙、学会などで積極的に発表していますか?”です。経験的に企業の文化や上司の方針に影響するところが多いと感じており、ヒストグラムを見ても広く分布していることが分かります。

 筆者がかつて在籍していた会社の主催セミナーで、外部の方に発表や講演を依頼する機会がたびたびありましたが、8割はこれまでの付き合いなどもあり、おおむね快諾してもらえるのですが、残りの2割は本人と直属の上司の許可は取れても、さらにその上の役職の承認が得られずにお断りされる傾向が強かったように思います。

 こうした企業の主なお断り理由は「自社が発表することのメリットが分からない。むしろ競合他社への情報提供になりかねないのでデメリットになる」といったネガティブなものです。担当者自身はやる気十分であることが多く、そのモチベーションを下げてしまう結果となり、残念に思ったことが何度もありました。

 一方、事例紹介記事やセミナー/学会での発表が目立っていた企業の方に、その理由を聞いたところ、「技術力を対外的にアピールすることで、イメージ向上につながるだけではなく、従来のコンタクト先からは得られない技術提携の話や、大学からの共同研究の申し出といった実務的なメリットも出てくるので、会社として推奨されている」とのことでした。前者のケースとは全く異なる考え方であり、この企業の伸びしろの大きさを感じたことは言うまでもありません。

 ちなみに、海外での発表を依頼するケースでは、「おおむね快諾」と「業務の負担になるからお断り」に大きく分かれる傾向にあります。まだまだ社外発表の価値や理解度が不足しているのでしょう。

D8「外部情報収集と学習」

 D8「外部情報収集と学習」の設問は、“セミナー、カンファレンス、学会などからどのように情報収集し、技術向上につなげていますか?”です。仕事にある程度余裕があり、意識をしないと難しい内容かもしれません。診断結果を見ますとLevel 2〜3が多く、十分に実施できていない状況が分かります。実際のところ「忙しくてそれどころではない」「情報収集しても社内評価につながらない」「出張申請が通らない」というのが現実のようです。「情報収集」という言葉のせいで、単なる“収集”目的のように見えてしまうこともマイナスイメージにつながっているのでしょう。収集することで何を得るのかという収集の背景にある本来の目的を曖昧にせず、明確化することが重要だと考えます。

D9「外部組織との連携」

 D9「外部組織との連携」の設問は、“シミュレーションに関係したテーマで、研究機関やベンダーと共同開発や研究をどの程度行っていますか?”です。診断結果を見ますとLevel 4〜5は多少あるものの、大半はLevel 3以下であることから、課題の一つといえるでしょう。実施している企業では大学や研究機関との共同研究、ベンダーとの共同開発といった例が多く見られますが、コメントの中には「選択と集中の判断の中で限定的」「費用対効果の判断が困難」「継続が難しい」といった課題も示されています。

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