RYODENらが生成AIの事業応用で協業、現場映像と設備データの融合も目指すFAニュース

RYODENは新潟人工知能研究所、事業創造大学院大学とともに生成AI(人工知能)の事業領域における協業を2024年5月から開始する。

» 2024年04月19日 08時15分 公開
[長沢正博MONOist]

 RYODENは2024年4月18日、東京都内のRYODEN-Lab.で記者会見を開き、新潟人工知能研究所、事業創造大学院大学とともに生成AI(人工知能)の事業領域における協業を同年5月から開始すると発表した。

左からRYODENの反田哲史氏、富澤克行氏、新潟人工知能研究所の黒田達也氏、事業創造大学院大学の大塚晃氏[クリックで拡大]

 今回の協業では、RYODENが事業への適用、新潟人工知能研究所がAI技術の研究、事業創造大学院大学が事業応用開発と人材の育成を担当する。

 RYODEN 取締役社長の富澤克行氏は「最新技術を用いて事業にイノベーションをもたらすためには、技術開発する人、それを事業に適用する人、さらにそれを応用する人が必要になる。生成AIという将来性ある新技術に対して3社がそれぞれの強みを生かして連携する。RYODENとしては、AI技術を社会に適用する役割を担い、基幹事業の効率化、強化、顧客への新しいソリューションの提供を目指していく」と語る。

 学校法人などを経営するNSGグループで2017年に設立された新潟人工知能研究所 代表取締役の黒田達也氏は「RYODENの持つ幅広い事業ネットワークと高い価値創造力に乗じ、われわれも高度なAI技術の獲得と、さらに社会的なインパクトの創出を実現できる好機だと確信している」と意気込む。

 2006年設立の事業創造大学院大学 教授の大塚晃氏は「生成AI技術を活用して新たなビジネスモデルやサービスを創出するために、産学共同でイノベーションを推進する。この協業を通じて、社会に新たな価値をもたらすことに加え、グローバルな視野を持つ起業家や実業家を育成し、持続可能な未来の基盤を築いていく」と述べる。

 生成AI技術の事業化、応用を進めるRYODEN-Lab.には、RYODENで新事業創出を担当する新事業推進室と、事業創出に向けたエンジニアリングを統括する戦略技術センターが集まる。

 RYODEN 執行役員 戦略技術センター センター長の反田哲史氏は「RYODEN-Lab.は全社の技術を集約、連携、統合させ、社会や顧客にソリューションを提案する拠点となっている。AIはエネルギー、画像などさまざまなデータの利活用を実現する鍵であり、RYODEN-Lab.に必要な技術だ。製造分野を中心に、異質なスピード感で、異質なデータ活用を目指す」と話す。

 初期段階では、大規模言語モデル(LLM)を用いた技術営業支援システムの開発を行う。技術営業は顧客のトラブル解決のために膨大なマニュアルの検索に多くの時間を費やしている。そこで生成AIを活用した業務の効率化を目指す。2024年度中に要素技術を開発し、2025年度を目どに実用化を目指す。

 RYODEN 戦略技術センター 戦略技術部 開発グループ グループリーダーの徳田康晴氏は「マニュアルは膨大な量があり、しかも多様な言語で存在している。生成AIを活用してこれらのマニュアルから自分が欲しい情報をすぐにピックアップできるようにし、技術営業の業務を刷新したい」と語る。

 次の段階では、画像などから自然言語文を生成するVision&Languageの技術を用いて、膨大な映像データを言語で管理することでユーザーの利便性を飛躍的に向上させる。2025年以降の実用化を目指す。

「製造現場ではロボットや生産ラインなどの設備の異常データは管理できていても、作業者が手作業で行ったエラーはデータとして残らない。それをVision&Languageによって映像から解析してデータにし、設備のデータと組み合わせて、異常発生時に何が起こっていたのかを後から見いだすことができるような活用方法をまず考えている」(徳田氏)

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