製造業のマーケティング担当者必見、「サプライヤーの探し方と選定基準」の本音間違いだらけの製造業デジタルマーケティング(14)(1/4 ページ)

コロナ禍で製造業のマーケティング手法もデジタルシフトが加速した。だが、業界の事情に合わせたデジタルマーケティングを実践できている企業はそう多くない。本連載では「製造業のための正しいデジタルマーケティング知識」を伝えていく。第14回のテーマは「メーカー開発設計者に聞いたサプライヤーの探し方と選定基準」だ。

» 2024年04月26日 07時00分 公開

 マーケティングは、目的達成の確率を高めるためのアプローチである。マーケティング成功のためには、市場と競合を理解した上で自社の強みを明確にする必要がある。マーケティングの中で最も難しいのが市場の理解、つまりターゲットを理解することだ。

 今回はB2B製造業のターゲットである「メーカーの開発設計者」がどのようにサプライヤーを探し、どのような基準で選ぶのかについて、4人の開発設計者に対しインタビュー形式で調査した。結果は記事の後半に示す。

 調査の結果、開発設計者がサプライヤーを探す際には、主に3つの方法が用いられていることが分かった。1つ目は自社の購買担当や商社などの既存ネットワークの活用、2つ目が展示会、そして3つ目はWebによる情報検索であった。1つ目は新規参入を目指すという本連載の目的とは異なり、2つ目は情報収集がメインで受注までの期間が長期化することから、いずれも追加調査は行わなかった。

 3つ目のWeb検索を使ったサプライヤーの探し方について追加調査を行ったところ、まず、検索する際に「製品名」「材料名」「加工名」「OEM」「機能」など、さまざまキーワードを使用していることが分かった。また、Webサイトの内容で最も重視するのは製品や取引先などの実績で、ISO認証の取得などはさほど重要視していないことも明らかになった。

 以上のことから、Webサイトを通じてメーカーの開発設計者から問い合わせをより多く獲得するには、製品名や材料名、加工名、OEM、機能などのキーワードでSEO対策するとともに、サイト内には製品や取引先などの実績の情報にたどり着きやすくする工夫が必要であるという結果が得られた。

 さらに、今回の調査結果から得られた、メーカー開発設計者に聞いたサプライヤーの探し方と選定基準について考察を深める。

開発設計者のサプライヤーの探し方

 まず気になるのは「どんなときに外注先を探すのか?」である。不具合発生時や新規開発など、どのような場面で新規サプライヤーを探すのか聞いたところ、「既存のサプライヤーでは対応できないとき」であることが判明した。

 量産の場合は既存サプライヤーとコスト面などが折り合わなかったときに、試作の場合は治工具などの一点物を作るときや、新規開発の際に既存の取引先では作るのが難しそうだと判断したときに外注を探し始めるということであった。また、日頃から新規サプライヤーを探しているというよりも、必要に応じて探し始めることが多いようである。つまり、「探すタイミング」があることが分かった。

 次に、「どうやって外注先を探すのか?」である。まず社内の購買担当に話を聞き、次に取引経験のある商社に確認するという。それでも見つからない場合は、展示会やWeb検索で新規取引先を探すようである。

 では、Web検索でサプライヤーを探す場合、メーカー設計開発者はどのような手段を採るのか。調査の結果、基本的にGoogleなどの検索エンジンを使用することが分かった。手順はまず、キーワードを入力して検索を行い、検索結果から気になるページをクリックしてWebサイトの中身を確認し、興味を持てば問い合わせを行っていた。

 また、Webマーケティングを行う上では「ターゲットがどういったキーワードで検索するのか?」を知らなければならない。これを知ることで重要なSEOキーワードを絞り込める。

 調査の結果、検索するキーワードは多種多様であった。例えば、金属の材料名(SUS304、PTFE、チタン、タングステンなど使う材料名や記号名)、加工法(絞り、鍛造、切削、コーティング、押出など)、部品名、製造、加工、OEM、大量ロット加工、納品、一貫生産、断熱材、小型、軽量、ポリフィン系などがあった。ただし、設備名や地域名などで検索することは少ないようである。設計開発者に見つけてもらうためにはビッグキーワードだけではなく、ニッチキーワードも含めたできるだけ多くのキーワードでSEO対策を行う必要があることが分かった。

 さらに、「検索結果の何を見て、サイトを訪れるかどうかを判断しているか?」を調査した。これはページのタイトルとディスクリプションの設定方法の参考になる情報である。ディスクリプションとは、検索結果のタイトルの下に表示される、ページの概要を示す文章だ。

 タイトルは言うまでもないが、ディスクリプションもよく読んでいる人が多かった。タイトルやディスクリプションに含まれる検索キーワードと、その前後を読んでクリックするかどうか判断しているようだ。つまり、タイトルにキーワードを入れるだけでなく、ディスクリプションもしっかりと書くことが重要である。ディスクリプションの内容は、技術情報、実績などの具体例が分かる工夫が必要になってくる。

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