今回、大きく変わったのはプライマリークラスだ。前回までのコースはカーブが多く、走行自体が競技の大きな柱となっていたが、今回は2回曲がるだけという、シンプルなレイアウトに変更。その一方で後半の課題は、従来アドバンストクラスでやっていたようなゲーム性の高い内容になり、求められるAI(人工知能)のレベルが上がった。
今回の課題は、「ダブルループ」「ブロックdeトレジャーハンター」の2つ。ダブルループは、前回は前半の走行コースとして設定されていたものが、後半の課題として移動した形で、これは8の字に走るだけでOK。そしてもう1つの方は、マス目の上に置かれたブロックの色を判別し、どかしたり運んだりするというものだ。
ブロックの配置は5パターンあり、スタート直前に決まるため、どのようなルートを選べば最適なのかを状況に合わせてAIに判断させる必要がある。赤色のトレジャーブロックを持ってゴールすれば得点が高くなるので、各ブロックの色も調べないといけない。
2つの課題を全て達成すると、ボーナスポイントは35点になる。今回は、出場30チーム中、9チームがこのパーフェクトを達成。中でも、「Teamジスクソフト」(ジスクソフト)と「ヒット&ラン」(八戸工業大学 工学部)の2チームは、L/Rの両コースでパーフェクトを達成するという、安定度の高さが光った。
ヒット&ランは走行も7.9秒という好タイムで、競技2位という結果に。後半の課題では、トレジャーブロックを途中まで運んでからいったん離し、青色のデコイブロックをどかしに行ってから、再びトレジャーブロックを持ってゴールするという、高い戦略性も見せていた。
同クラスはAI重視になったとはいえ、パーフェクト達成チームが多数出た場合には、順位は走行タイムの勝負になる。上位に入るためには、リスクを取ってでもタイムを削りに行く必要がある。今回の最速タイムは、「ITS Labo」(パナソニックITS)の6.8秒。同チームは、2位に1秒近い大差をつけながら、2回の走行で同タイムという安定性も実現していた。
走行で面白かったのは、「HERCULES」(TDIプロダクトソリューション)と「AISAN チームA」(愛三工業)。HERCULESはイン側に切り込むアグレッシブな走りで、7.7秒という2位の好タイム。課題で失敗したため、残念ながら上位入賞は逃したものの、ダブルループも速さを維持したまま回りきったのは見事だった。
AISAN チームAは、ライントレースが基本の競技なのに、ライントレースを捨てて、ジャイロのみで走るという大胆な戦略に。しかしながら、ライン通りのきれいな走りを見せ、結果は7.7秒/7.8秒という好タイムを記録。最後にトレジャーブロックをコース外に落とし、パーフェクトを逃したのは惜しかった。
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