容量項について考える。容量項は流れの一部の体積変化により、流れの流量が変化することによって発生する。このようなパターンはいくつか存在する。ここでは3つのパターン、すなわち、空気だまり、大気開放タンク、流体の圧縮性・管の弾性について考える。
図3に示すように、中央にタンクがあり、タンク上部には体積V、体積弾性率Kの空気層があり、タンクの下部(液層)両端は質量流量dm1/dt、dm2/dtを有する配管とつながっている。このとき、力の釣り合いおよび体積弾性率の定義式K=−V(dp/dV)から、
が成り立つ。dm1/dt=ρq1、dm2/dt=ρq2なので、上式は、
となる。この式を変形すると、
と容量項の式となり、これから容量要素は、
となる。今、等温変化を考えるとp∝1/Vであるから、K=pとなり、断熱変化を考えるとp∝1/Vγであるから、K=γpとなる。γは比熱比で1気圧、20℃の空気の場合、γ=1.402である。また、大気気圧はp=1.01325×105[Pa]である。
図4に示す大気開放タンクを考える。タンクに流入流出する流量の差分に流体の密度ρおよび重力加速度gを乗じて、タンク断面積Aで除した値が圧力として作用する。すなわち、
となり、これから大気開放タンクの容量要素は、
となる。
水も空気ほどではないが、圧縮性を有する。また、流体を包含する管も弾性を有している。このため、圧力を受けると流体が圧縮され、管が膨らむため、これを補う形で流量が増加する。従って、図5に示すように体積弾性率K、体積Vの流体(水)が直径d、肉厚t、縦弾性係数Eの管で覆われているとき、流量qと圧力pの間には次の式が成り立つ。
管の弾性の影響は、内圧pを受けると管の半径rはΔr=pr2/Etだけ伸びることより導出できる。以上から、流体の圧縮性・管の弾性を考慮した際の容量項の容量要素は、
となる。なお、常温常圧での水の圧縮率(体積弾性率の逆数)は1/K=0.485×10-9[Pa]である。
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