また、スマート社会の形成に挑戦する「広島大学スマートシティー共創コンソーシアム」も設置し、日産自動車や住友商事、ソフトバンクなどの民間企業が加盟した。さまざまな業種の民間企業と連携し、教職員や学生も巻き込んでキャンパスをイノベーション創出の場として活用する。DX(デジタルトランスフォーメーション)やエネルギー、モビリティなどさまざまな観点からスマートシティーにつながる研究を進めていく。
現在、キャンパスを小さな街に見立てた実証の取り組みが行われている。その1つが「TGOアプリ」で、学内のさまざまなサービスの入り口として情報を提供する。学生のコミュニケーションの場を提供する他、複数の言語での学生生活のサポート、大学が導入したカーシェアリングのEVの予約などに対応している。
MaaS(Mobility-as-a-Service、自動車などの移動手段をサービスとして利用すること)基盤も整備している。行政サービスや医療、貨客混載などさまざまな用途に対応するマルチタスク車両を活用し、ニーズや経済性のデータ収集や検証を行う。今後は、運行予定の確認や予約決済などモビリティに関する複数の機能を備えた専用アプリを開発する。さらに、キャンパス周辺では自動運転バスなどの実証実験も行われている。
広島大学スマートシティー共創コンソーシアムでは日産自動車を始めとする企業から講師を派遣し、学生にカーボンニュートラルを推進するビジネスについて学ぶ機会を提供する。現在、100人以上の学生が受講しているという。
プライベートではEVに乗っており、現在はライドシェア導入を推進する小泉進次郎氏。EVとライドシェアの導入議論に共通するのは、「使ったことがないと良さが理解されにくい」という点だと紹介した。どちらも、使ったことのない人からデメリットや懸念など実態に基づかない意見が出るため、理解を得るのが難しいという。
クルマの用途によっては走行距離の長さにこだわる必要がないことや、使い方を分析すれば充電時間を確保できることなど、当たり前の事実が伝わっていないためにEV普及が遅れていると語った。不安や懸念でEVを使わない人に使ってもらうには、「EVを配布するくらいのことが必要なのではないか」(小泉氏)とアイデアも述べた。さらに、社用車1000台を全てEVにした企業が年間5000万円の燃料コスト削減に成功した例に触れ、社用車を使う企業がEVシフトに参加する意義や経済合理性を訴えた。
EVは、環境問題の解決策としてだけでなく、自動車産業が日本の稼ぎ頭であり続けるために重要だとしている。日本のEVが世界で売れるかどうか、世界で競争力を失わずにいられるかどうかがカギを握ると見込む。それを政治としてもけん引しなければならないと決意を示した。
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