クオリカプスの譲渡やヘルスケアと産業ガスの事業好調で三菱ケミカルGが増益製造マネジメントニュース(1/2 ページ)

三菱ケミカルグループは、2024年3月期第3四半期(2023年10〜12月期)の決算で、売上高は前年同期比5%減の3兆2451億円となるも、営業利益は同337%増の2125億円となった。ハードゼラチンカプセルやHPMCカプセルの製造販売を行うクオリカプスの譲渡やヘルスケアセグメントと産業ガスセグメントの好調が増益の要因だった。

» 2024年02月08日 09時30分 公開
[遠藤和宏MONOist]

 三菱ケミカルグループは2024年2月6日、オンラインで記者会見を開き2024年3月期第3四半期(2023年10〜12月期)の決算について発表した。

 決算発表に先立ち、同年3月末に退任する三菱ケミカルグループ 代表執行役社長 CEOのジョンマーク・ギルソン氏が「(私がCEOを務めた)この3年間(2021年4月〜2024年3月)に渡り構造改革を行ったことで2024年3月期第3四半期の営業利益は黒字となった。3月末に三菱ケミカルグループを去ることになるが達成感を持っている。当社が行った従業員の満足度調査では17項目のうち16項目で満足度が私がCEOを務める以前より上がった他、監査機能も大幅に向上した」と成果を語った。後任の代表執行役社長は同社 副社長の筑本学氏が務める。

引き続きALSの治療薬「RADICAVA ORS」の売上が北米で好調

 2024年3月期第3四半期の売上高は前年同期比5%減の3兆2451億円となるも、営業利益は同337%増の2125億円となった。営業利益から非経常的な要因により発生した損益を除外したコア営業利益は同3%増の1839億円を記録した。為替レートは同5%増の1ドル当たり143.8円で、ナフサ単価は同15%減の1kl(キロリットル)当たり6万7900円だった。

三菱ケミカルグループの2024年3月期第3四半期連結業績の概要[クリックで拡大] 出所:三菱ケミカルグループ
コア営業利益増減要因 コア営業利益増減要因[クリックで拡大] 出所:三菱ケミカルグループ

 三菱ケミカルグループ 執行役エグゼクティブバイスプレジデント 最高財務責任者(CFO)の中平優子氏は「2023年11月1日に発表した2024年3月期通期業績予想の修正値を踏まえてみると、売上高、営業利益、コア営業利益は順調に進捗している」と話す。

 2024年3月期第3四半期は、市況の低迷など厳しい環境が続く中、価格マネジメントとコスト構造改革の進捗などにより、売上高は減収ながら、コア営業利益は増益となった。

 半導体関連市場や産業材の業界などで需要低迷の影響が継続し回復に時間を要していることから、同社のスペシャリティマテリアルズとベーシックマテリアルズの販売数量が前年同期比で大きく減少した。しかし、同社が販売する筋萎縮性側索硬化症(ALS)の治療薬「RADICAVA ORS」の売り上げが北米で好調だった他、産業ガスの販売も順調だったため、コア営業利益は前年同期を上回った。

 さらに、コスト削減活動を精力的に行い2024年3月期第3四半期までに同年通期で800億円の全社コスト削減目標を上回る820億円のコスト削減を実現した。加えて、事業ポートフォリオ改革の一環で、2024年3月期第3四半期にクオリカプスの全株式をフランスのRoquette Freresへ譲渡したことに伴う非経常利益の計上などにより、親会社の所有者に帰属する四半期利益は前年同期比で大幅増益となった。

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