グリッドは、鉄道/海上/陸上の輸送を一元管理してマルチモーダル輸送として効率化を実現するシステム「ReNom multiModal」を開発する。
グリッドは2024年1月22日、鉄道/海上/陸上の輸送を一元管理してマルチモーダル輸送として効率化を実現するシステム「ReNom multiModal」を開発すると発表した。長距離を輸送する製品、鉄道に特有の振動が品質に影響しない製品、納期に余裕のある製品などを対象に、マルチモーダル輸送への移行を支援する。2024年度中に開発を完了し、提供を開始する。
グリッドでは、(1)電力需給計画やプラント制御、分散電源制御などの電力/エネルギー分野、(2)配船や生産、輸送の計画を立案する物流/サプライチェーン分野、(3)都市計画や渋滞予測、空調の熱源制御など都市交通/スマートシティー分野の3分野でAI(人工知能)を使った最適化に取り組んでいる。いずれの領域も計画業務は複雑で、膨大な組み合わせを基に計画を立案する必要があるが、グリッドはこれらの業務知識を持つ経験者をエンジニアとして抱えていることを強みとしている。
こうしたノウハウを生かし、デジタルツイン上でAIを用いて一元管理することで、全輸送手段を活用した物流の効率化を実現する。デジタルツイン上に生産拠点や備蓄拠点、需要拠点の他、全ての輸送リソースを緻密に再現し、複雑なマルチモーダル輸送計画を最適化する。共同配送のシミュレーションも可能だ。
海運や鉄道も人手不足や路線ごとのキャパシティーの上限などの課題を抱えている。ReNom multiModalでマルチモーダル輸送の需要を明確化することで、人員などリソースの最適配置につなげる。
マルチモーダル輸送を実現するには、鉄道や海運のコストがトラックを上回る場合や、鉄道で発生する微振動、海運の納期の長さなどを踏まえてそれぞれの輸送手段の比率を検討しなければならない。共同配送を行う場合には、パートナー選定も検討事項に加わる。限られたリソースの中で人手で最適な計画を出すことは難しいという。
ReNom multiModalは、これまでトラックのみで行っていた貨物輸送に環境負荷の小さい鉄道や船舶を組み合わせることで、輸送量の拡大とCO2排出量の低減を両立する。物流の2024年問題に向けて政府が2023年10月に発表した「物流革新緊急パッケージ」でも鉄道や内航海運の分担率や輸送量を今後10年間で倍増することが掲げられている。
ReNom multiModalでは、デジタルツイン上でのシミュレーションにより、年間の輸送リソース計画を設計したり、それぞれの輸送手段の割合を検討したりできる。これにより中長期的な物流コストを計算でき、段階的なマルチモーダルシフトを支援する。また、品質や納期などさまざまな制約条件を守りながら、CO2削減や輸送速度、物流コストなど複数の目的を達成する輸送計画の選択肢をAIが自動立案する。単独の輸送手段では難しい水準でコスト低減やCO2削減、労働効率化を図れるとしている。
AIが策定した輸送計画の実行結果を可視化することで、積載率や到着時間、コストなどを評価し、AIが次に策定する輸送計画の精度向上につなげることができる。
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