東洋エンジニアリングは、米国アラスカ州ノーススローププルドーベイ鉱区におけるメタンハイドレート長期陸上産出試験で、ガス生産を開始したと発表した。同社は遠隔モニタリングシステムを構築するなど、試験の目的達成を支援している。
東洋エンジニアリング(TOYO)は2024年1月10日、米国アラスカ州ノーススローププルドーベイ鉱区におけるメタンハイドレート長期陸上産出試験で、ガス生産を開始したと発表した。
今回の産出試験は、エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)からTOYOが受託し、支援業務を進めているもの。JOGMECでは、産業技術総合研究所、日本メタンハイドレート調査と共にコンソーシアムを組み、経済産業省からメタンハイドレートの商業開発に向けた研究開発を受託している。
JOGMECは、これまで複数回のガス産出試験を実施し、井戸内の圧力を下げて地層中にある固体のメタンハイドレートを分解し、気体のメタンガスを生産できることを実証している。一方で商業化には、メタンガスの安定生産に向けた技術確立と長期の生産挙動が求められていた。
TOYOは、2016年にJOGMECから産出試験システムの検討業務を受託。物理探査による地質データ取得、産出試験システムにおける地上生産設備の基本設計、坑井の基本設計と調達、遠隔モニタリングシステムの設計、構築、運用、保守業務を担ってきた。
2023年9月19日には産出試験システムによる井戸の減圧を開始し、同年10月24日にガスの産出を確認した。現在は、産出試験において遠隔モニタリングシステムの運用、保守業務、現場作業監理支援業務を進めている。
TOYOが構築した遠隔モニタリングシステムは、同鉱区の産出試験サイトのモニタリングデータをリアルタイムに収集できる。遠隔地から操業状況を確認でき、データをダウンロードして即時解析し、JOGMECの目的達成を支援する。
今後、TOYOは引き続きJOGMECの産出試験をサポートし、国が推し進める未利用のエネルギー資源の開発に寄与するとしている。
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