一方、エアコンは図4に示すように熱の出し入れを行う装置であり、これを制御しているのが図5の「圧縮機」である。
連載第21回で導出したように、エアコンの運転を支配する式は以下となる。
エアコンに求められるのは熱エネルギー量の調整機能である。エアコンの単位時間当たりのエネルギーの流入流出量Qは上記の式から、
となる。Vは圧縮機の容積であり、ここでは10cc=10×10-6m3とする。また、γは通過するガスの比容積、fは圧縮機の回転数(Tは回転周期)、Δhは比エンタルピーである。すなわち、熱量の制御はコンプレッサーの回転数制御に置き換えることができる。
以上の快適性ならびにエアコンのモデリングの知見から、快適性を保つエアコンの運転法を考える。快適性の評価では、温度、風速、湿度、服装指標、活動指標が入力であった。このうち、温度、風速、湿度は物理センサーにより計測可能である。また、服装指標、活動指標も画像センサーなどにより推定が可能である。従って、ひとに蓄積される熱エネルギーSは現在の技術でリアルタイムでの計測が可能である。すなわち、ひとの快適性をエアコンによって保つには、ひとの蓄熱量Sがゼロになるように、エアコンから熱量Qを付加すればよく、このための運転条件は下記となる。
実際には、エアコンの供給熱量が全てひとに供給されるわけではないため、Q×TFがひとに供給される熱量としてTFを決める。ここでは、TF=1/50とする。また、エアコンの供給熱量Qは部屋にQroomとして供給されるだけでなく、外壁を通して外部へQoutとして出ていく。ここに、部屋の熱容量をCroom、外壁の熱コンダクタンスをGとすると、快適性を保つエアコンの運転法に関する式は以下となる。また、以上を図で表現すると図6となる。
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