やはりと言うべきでしょうか。第2位はインタビュー記事「生産性向上だけじゃない、パナソニックコネクトがChatGPTを全社導入した理由」でした。生成AI(人工知能)関連の話題は必ずどこかに入ると思っていましたが、高い順位になりました。
2023年はOpenAIの「ChatGPT」がビジネスシーンでも本格的に普及し、「生成AI」というワードが爆発的に広まった年でした。国内外企業による基盤モデルやLLM(大規模言語モデル)、そしてその関連サービスの開発競争が過熱していますが、同時に主要7カ国(G7)デジタル・技術大臣会合で生成AIに関する国際的なルール作りを宣言した「広島AIプロセス」が採択されるなど、規制面での取り組みも着実に進展しつつあります。
記事で紹介したのは、製造業の中ではかなり早期にChatGPT全社導入に踏み切ったパナソニックコネクトの事例です。その後、2023年4月にはパナソニックグループ全体で同社版ChatGPTである「PX-AI」を導入して、国内外の社員が使えるようにしました。
パナソニック以外にも中外製薬や日清食品、帝人など、ChatGPTの全社、あるいは一部導入に踏み切る大手製造業が見られるようになりました。議事録作成から翻訳、ドキュメントのドラフト作成、プログラミングコードの作成や技術的な質問への対応など、多岐にわたる分野で業務のアシスタントとして活躍する可能性があります。
懸念されるのは、自社の機密情報の漏えいやハルシネーション(幻覚)といったリスクです。このため、独自のデータベースを構築してChatGPTなどと連携することで、ユーザーの質問に対して自社情報に基づく正確な回答を返せるようにする「RAG(Retrieval-Augmented Generation)」の導入を検討する企業も少なくありません。
一方で、製造業全体で見ると生成AIを日常的に活用している人は他業種と比べると低い水準にとどまるというアンケート調査もあります。今後はChatGPTを単に導入したというだけでなく、ユーザーの属性や使用頻度、目的、実際の業務改善効果を定量的な指標で測定し、定着に向けた課題を洗い出していく作業も必要になっていくでしょう。
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