会見では、XENSIV製品群の中でも特徴が際立っている、レーダー、3D ToFセンサー、MEMSマイクロフォン、フォトアコースティック方式によるCO2センサー、3D磁気センサーの5製品に加え、開発検討段階にある超音波タッチセンサー「CMUT」について、デモを使って紹介した。
インフィニオンの車載レーダーは24GHz帯と77GHz帯でトップシェアという実績があり、この技術を基に産業/IoT(モノのインターネット)や民生向けのレーダー製品を展開している。民生向けでは、パッケージに送信/受信アンテナを内蔵した製品がグーグル(Google)のスマートフォン「Pixel 4」に採用された実績もある。「Pixel 4以降はスマートフォンでの採用はないが、スマートスピーカーやサーモスタットなどスマート家電を中心に着実に採用が広がっている。今後は照明システム、エアコン、テレビなどで採用の機会が増えるのではないか」(浦川氏)という。
3D ToFセンサーは、画素ごとに距離情報を付与したリアル3Dセンシングが可能になる。画素数がVGAクラスとなる30万画素の製品は業界内でも他にないとする。
先述した通りMEMSマイクロフォンはトップシェアだが、この優位性を基盤としてMEMSセンサー市場全体でもボッシュ、STマイクロエレクトロニクスに次ぐ3位につけている。インフィニオンのMEMSマイクロフォンの特徴は、最大入力音圧レベル(AOP)が高く、ダイナミックレンジが広いことだ。一般的なMEMSマイクロフォンのS/N比は65dB前後だが、インフィニオンは最大で73dBの製品を用意している。「高音質にこだわるならインフィニオンを選んでほしい」(浦川氏)。
CO2センサーは、MEMSマイクロフォンなどで培かったMEMS技術を応用した製品で、赤外線照射によって発生する音響波の音圧変化を計測するフォトアコースティック(光音響)方式を採用している。一般的なCO2センサーで採用されているNDIR(非分散型赤外線)方式と比べて、4分の1程度のサイズに小型化しつつ同等以上の性能を実現できている。
3D磁気センサーでは、自動車のステアリングシステムなどに用いられているホールセンサーの技術を民生向けでの横展開を目指している。期待値の高い市場としては、ゲーム機のコントローラーが挙げられる。従来は接触式のポテンショメーターが用いられてきたが、3D磁気センサーは非接触式なので耐久性を向上できる。ウエハーレベルパッケージの製品であれば外形寸法も1mm角と小さく、ゲーム機のコントローラーそのものの小型化にも貢献できるという。
CMUT(Capacitive Micromachine Ultrasound Transducer)は、MEMSマイクロフォンの技術ベースに超音波によるタッチセンシングを可能にするセンサーである。従来のタッチセンサーでは、静電容量式(Capacitive)と磁界式(Inductive)があるが、静電容量式はタッチ圧力を検出できず、磁界式はタッチ圧力を検出できるものの表面材料の材質や厚さが1mm以下といった制約がある。CMUTは、タッチ圧力を高精度に検出できるとともに、表面材料は木材、金属、樹脂などに対応し、厚さも1〜10mmを選べる。現在開発検討中だが、自動車のインストルメントパネルやスマートフォン側面に用いるセンサーとしての活用を想定している。
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