インフィニオン テクノロジーズが、業界で初めてLPDDR4インタフェースを搭載したNORフラッシュメモリ「SEMPER X1」について説明。ソフトウェア定義型車両に対応できるように、従来比でデータ転送速度8倍、ランダム読み出し速度20倍を実現したという。
インフィニオン テクノロジーズ(以下、インフィニオン)は2023年5月11日、東京都内で会見を開き、業界で初めてLPDDR4インタフェースを搭載したNORフラッシュメモリ「SEMPER X1」について説明した。これまでのNORフラッシュメモリで用いられてきたSPIインタフェースをLPDDR4インタフェースに置き換えるとともに、同社独自のeCT(embedded Charge Trap)技術を採用した40nmプロセスのNORフラッシュメモリを組み合わせることで、従来比でデータ転送速度8倍、ランダム読み出し速度20倍を実現した。既にサンプル提供を始めており、2024年内に量産出荷する計画である。
同社が2020年4月に傘下に収めたサイプレス セミコンダクタは、2014年末にNORフラッシュメモリを手掛けるスパンション(Spansion)と経営統合している。インフィニオンのNORフラッシュメモリ事業は、この旧スパンションから実績を積み上げてきたものだ。NORフラッシュメモリ市場は寡占化が進んでおり、2022年には上位4社のシェア合計が81%に達している。インフィニオンは中国、台湾以外で唯一のサプライヤーとなる。
同社 フラッシュ ソリューションズ マーケティング&アプリケーション担当 バイスプレジデントのサンディープ・クリシュネゴウダ(Sandeep Krishnegowda)氏は「2020年以前はNORフラッシュメモリ市場は衰退していた。しかし今後は、自動車と産業機器の分野で需要が拡大し、2020〜2026年にかけて市場規模は年平均成長率7%で成長するという予測もある」と語る。特に車載向けNORフラッシュメモリはインフィニオンが得意とするところであり、市場平均よりも高い成長が見込めるとする。
車載分野におけるNORフラッシュメモリは、ECUに搭載されるリアルタイム処理が求められるプロセッサに外付けする形で利用されてきた。自動車の電子化と機能の高度化に合わせてECUに組み込むソフトウェア規模も増大しており、NORフラッシュメモリを外付けするECUの数も増えている。「今後は自動運転システムやADAS(先進運転支援システム)での採用が拡大するだろう」(クリシュネゴウダ氏)という。
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