東海大学ソーラーカーチームが、Hexagonの熱流体解析ソフトウェア「Cradle CFD」を活用して、ソーラーカーの車体を開発した。実風況を考慮した7億要素の高精度解析により、車体は優れた空力性能を有する。
Hexagonは2023年10月30日、東海大学ソーラーカーチームが、同社の熱流体解析ソフトウェア「Cradle CFD」を活用して、ソーラーカーの車体を開発したと発表した。実風況を考慮した7億要素の高精度解析により、車体は優れた空力性能を有する。
東海大学は、世界最大級のソーラーカーレース「Bridgestone World Solar Challenge」に1993年から参戦。2009年と2011年の大会では優勝を勝ち取っている。
今回の2023年大会では、レギュレーションの変更により、最低地上高が70mmから100mmに変更、また車体前後に10度以上のアプローチ角度とデパーチャー角度を設けることが義務化された。これによって車体の外側に出るタイヤの面積が増え、タイヤから乱す空気の流れの影響が大きくなった。加えて、床下にも空気が流入しやすくなったこと、ナンバープレートの設置が義務付けられたことで、空気抵抗が増大した。
このレギュレーション発表から約6カ月で設計を終え、また複雑な形状を持つ外形形状を多く検討する必要があることから、東海大学ではCradle CFDによるデジタルエンジニアリングを利用して車体を開発した。
同大学は2009年からCradle CFDを利用しているが、2023年型ソーラーカーの開発では、空力性能の向上を目指した。チームが保有する実測データに基づき、実際の大会で想定される、横風が吹く条件下での空力解析を実施し、乱流エネルギーが高い箇所(等値面)が少なく、レギュレーション変更に対応した車体でも高い空力性能を確認できた。
ナンバープレート対策としては、乱流エネルギーが発生する箇所に小さな空力デバイス「乱流渦抑制ブレード(Turbulent Vortex Suppression Blade<TVS Blade>)」を装着し、後方の渦(渦度)を抑制した。
最終的な性能評価のため、詳細なメッシュを生成した総要素数が約7億個の高精度解析を実施したところ、2019年型を超える空力性能を確認した。
東海大学は開発した車体で、4年ぶりの開催となった「Bridgestone World Solar Challenge 2023」に参加。太陽光から発電できるエネルギーのみを利用し、砂漠地帯を3000km走破するチャレンジャークラスに参戦し、5位でゴールした。
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