「EV参入への門戸を自ら閉ざすつもりはない」THKが自社開発EVプロトタイプを出展ジャパンモビリティショー2023(2/2 ページ)

» 2023年10月30日 07時30分 公開
[三島一孝MONOist]
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高い完成度でEVプロトタイプを開発、EV参入の可能性も

 THKの今回の取り組みが特徴的なのが、これらの技術を技術のままで展示するのではなく、実車走行可能なEVプロトタイプの中に詰め込み、走行しながらその価値を証明できる形としたことだ。クルマとしてのデザインは、日産自動車やいすゞ自動車のデザイン部門を歴任した、SN Design Platform(SNDP)代表の中村史郎氏が担当し、個性的で完成度の高いクルマに仕上げた。

photo 個性的で完成度の高いクルマに仕上げたLSR-05[クリックで拡大]

 EVプロトタイプとなる、クロスオーバー4シータークーペ「LSR-05」は、「ラグジュアリーでスポーティなデザイン、革新的な技術をキーワードに開発した」(中村氏)。車名は、Luxury、Sport、Revolutionそれぞれの頭文字を表し、さらに、1972年にTHKが世界で初めて開発した初代LMガイド「LSR」にも由来するという。「05」は5世代目を意味し、この第5世代機と第4世代機「LSR-04」が実車走行を行える。LSR-05はシルバーメタリックな外観だが、LSR-04は黒の車体となっており、テストコースで走行しさまざなデータ取得などを行っているという。

 プラットフォームとしては4輪ステア機構とし、THK独自開発の93kW(800V仕様)の可変磁束型インホイールモーターをリアに2基、フロントには220kW(800V仕様)のモーターを1基搭載した。さらに、アクティブサスペンション、MR流体減衰力可変ダンパー、電動ブレーキなどを搭載している。ステルスシートスライドシステムはフロアの完全なフラット化を可能としている。また、ドアは観音開きとするなど、ラグジュアリーなインテリアと合わせ、より快適な車室空間を演出している。

photo ドアは観音開きとするなどラグジュアリーさをアピール[クリックで拡大]

 技術をアピールするためだけであればここまで完成度の高いクルマの形にする必要はないようにも見えるが、THK 取締役専務執行役員で、産業機器統括本部長の寺町崇史氏はその理由について「まずはわれわれの手でわれわれの技術の価値を証明する必要があると考えた」と述べる。

 「THKでは早期からLMガイドやモーター周辺技術の実績からEV時代に今まで以上の貢献ができると考えて、さまざまな技術開発を行ってきていた。しかし、高い安全性が求められる自動車産業では、実績のない新技術をいきなり採用するような形にはならない。そこでわれわれがまず実車の形で価値を証明することで、検討の材料を作る必要があると考えた」(寺町崇史氏)

 さらに、内燃機関では難しかったクルマの製造も「EVであればわれわれのノウハウでもかなりの領域まで作りこんでいけることが分かった。自分たちの手でクルマを作ることで、われわれの技術面のどこを改善すればよいのかという点やどういうところを目指すべきなのかという点などもクリアになったところもある」と寺町崇史氏はプロトタイプを作り上げた価値について語る。

 ここまでを経て、さらに夢も広がっているという。「まずは、われわれの技術を検証して磨くという目的がメインであることは変わりないが、ここまで形にする中で、完成車を出す可能性について、われわれの方から門戸を閉ざすものではない。JAPAN MOBILITY SHOW 2023でもさまざまな可能性について話を聞いていきたい」と寺町崇史氏は語っていた。今後THKでは現在のテストコースでの実証だけでなく、公道での実証についても進めていく考えだとしている。

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