東芝は、「CEATEC 2023」において、工場などでカーボンニュートラルに向けた対策を進める際にCO2の排出量や削減量を正確にモニタリングできるMEMS(微小電子機械システム)ベースのCO2センサーを披露した。
東芝は、「CEATEC 2023」(2023年10月17〜20日、幕張メッセ)において、工場などでカーボンニュートラルに向けた対策を進める際にCO2の排出量や削減量を正確にモニタリングできるMEMS(微小電子機械システム)ベースのCO2センサーを披露した。2026年をめどに開発を進めている。
展示したMEMSベースのCO2センサーの基本構造は、基板上にあるマイクロヒーターから数μmの距離(エアギャップ)を空けて温度センサーを組み込んだメンブレン(隔膜)を設置した熱伝導型ガスセンサーとなっている。熱伝導型ガスセンサーでは、基準ガスとなる窒素(N2)とCO2など測定対象となるガスの比熱の違いを基に、温度上昇の値を温度センサーで検出することで、測定対象のガス濃度を測定する。
ただし、1個のセンサーだけだと事前に分かっている2種類までの混合ガスの濃度しか測定できない。そこで、感度が異なる複数の熱伝導型センサーをMEMS構造で作り込むことにより、さまざまなガスの濃度を測定できるようにしたのが、今回披露したMEMSベースCO2センサーとなる。
名称としてCO2センサーとしているものの、水素(H2)をはじめCO2以外のガスの濃度も測定できる。MEMSベースのデバイスであるため、パッケージ化した後の外形寸法も1cm角以下と小さい。ガスの比熱が測定原理となっているためCO2濃度を0〜100%の範囲で計測できるとともに、センシングの応答性が高いことも特徴となっている。
東芝の説明員は「コロナ禍で店舗などに導入された、赤外線センサーを用いたNDIR(非分散型赤外線)方式のCO2センサーは、数%程度までしかCO2濃度を計測できないのに対し、開発中のMEMSベースCO2センサーは0〜100%まで高い応答性でCO2濃度を計測できる。これによって、工場などで実施しているカーボンニュートラルに向けた対策のCO2排出量や削減量を定量的にモニタリングできるようになる」と語る。
カーボンニュートラル対策におけるCO2排出量は、直接モニタリングすることが難しいこともあって、GHG(地球温暖化ガス)プロトコルなどで定められた数値から換算するのが一般的であり、その対策の効果を明確にフィードバックできないことが課題だった。開発中のMEMSベースCO2センサーを用いれば、CO2排出量の直接モニタリングとフィードバックが可能になり、より効率的な対策への改善にもつなげられる。
東芝は、MEMSベースCO2センサー単体やモジュールを事業化するだけでなく、工場/プラント向けIoT(モノのインターネット)クラウドサービス「Meister OperateX」との連携によるCO2排出量見える化サービスとしての展開も想定している。
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