米国コヒレントとデンソー、三菱電機は、同年4月にコヒレントが設立したSiCウエハーの製造などを手掛ける事業会社に対して、デンソーが5億米ドル、三菱電機が5億米ドル、総額10億米ドル(約1500億円)を出資することで合意したと発表した。
米国コヒレント(Coherent)とデンソー、三菱電機は2023年10月10日(現地時間)、同年4月にコヒレントが設立したSiC(シリコンカーバイド)ウエハーの製造などを手掛ける事業会社のSilicon Carbideに対して、デンソーが5億米ドル(約750億円)、三菱電機が5億米ドル、総額10億米ドル(約1500億円)を出資することで合意したと発表した。出資完了時期は2024年1〜3月期を予定している。
SiC事業会社のSilicon Carbideの出資比率は、コヒレントが75%、デンソーと三菱電機がそれぞれ12.5%となる。デンソー、三菱電機は、Silicon Carbideへの出資により、6インチ(150mm)と8インチ(200mm)のSiC基板とエピタキシャルウエハーの長期安定調達を図る。
Silicon Carbideの代表には、コヒレントのエグゼクティブバイスプレジデントでニューベンチャー&ワイドバンドギャップ・エレクトロニクス技術統括責任者を務めるソハイル・カーン(Sohail Khan)氏が就任する。本社所在地は、コヒレントがペンシルバニア州サクソンバーグにあるのに対し、Silicon Carbideはデラウェア州ウィルミントンとなっている。
次世代パワー半導体であるSiCデバイスの市場規模は、2022年の約30億米ドルから2030年には210億米ドルに拡大するという予測もあり大きく期待されている。
光学材料や半導体材料を手掛けるコヒレントは、20年以上にわたってSiC材料分野の研究開発に注力しており、2021年8月には10年間で1億米ドルを投資する方針を発表していた。今回、デンソーと三菱電機から調達した10億米ドルの資金を用いて、SiC基板とエピタキシャルウエハーの製造能力を拡張し、SiCウエハー市場における地位を盤石なものにしたい考えだ。
デンソーは、Silicon Carbideへの出資により、EV(電気自動車)向けシステムの電力損失低減、小型化、軽量化に大きく貢献するキーデバイスの材料としてSiCウエハーの長期安定調達を図る。
一方、三菱電機はコヒレントから長年にわたり6インチSiC基板の供給を受けており、今回の出資に併せて8インチSiC基板の共同開発を進めることで、2026年に稼働予定の8インチSiC基板に対応した新工場(熊本県菊池市)向けの安定調達を図る狙いがある。
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