AWSは2023年10月3日、生成AIの活用基盤を提供するクラウドサービス「Amazon Bedrock」の東京リージョンでの利用を開始すると発表した。
AWS(Amazon Web Services)は2023年10月3日、生成AI(人工知能)の活用基盤を提供するクラウドサービス「Amazon Bedrock」の、東京リージョンでの利用を開始すると発表した。これに併せて本稿では、同サービスを先行利用した竹中工務店による成果発表も紹介する。
Amazon BedrockはAPIを介して、複数の基盤モデル(ファウンデーションモデル)から用途に応じたものを選択し、生成AI活用につなげられるサービスだ。企業が生成AIを活用する上で必要になる、社内データとの連携によって基盤モデルを安全にカスタマイズできる環境と併せて提供する。
AWSは2023年4月にAmazon Bedrockのサービス概要を発表し、2023年9月末には一般利用を開始していた。今回、東京リージョンでも利用可能になったことで、国内企業がより低遅延で生成AIサービスを利用/提供しやすい環境を実現した。現在、国内企業では竹中工務店、リコー、KDDIなどがAmazon Bedrockを利用している。
発表日時点でAmazon Bedrockでの利用が可能、あるいは今後可能になることが予定されている基盤モデルは以下の通り(括弧内は提供企業名)。
AWS Vice President of Generative AIのヴァシ・フィロミン(Vasi Philomin)氏はAmazon Bedrockの特徴として、ユーザーが目的に応じて基盤モデルを選択できることに加えて、ユーザー企業が社内データなどを基にファインチューニングなどを行いやすい点を挙げた。顧客だけがアクセス可能な基盤モデルを用意した上で、AWSのストレージサービスであるAmazon S3に保管された社内データを基に、暗号化された通信環境の下で、安全にファインチューニングを実行できる。また、AWSはGDPR(EU一般データ保護規則)やHIPAA(医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律)などデータ保護に関する規則にも対応していると説明した。
ヴァシ氏は今後の生成AIサービスの差別化要因として、ユーザー自身が利用できるデータ基盤の存在を挙げた。その上で、日本企業が生成AIを上手に活用していくためには、データ戦略の構築とともに、適切なアクセス制御のためのガバナンスツールを含めてデータをプラットフォーム間で適切に接続する仕組みが必要だと指摘する。
「AWSを使えば、顧客はデータを戦略的資産として活用し、基盤モデルをカスタマイズし、より差別化されたエクスペリエンスを構築できる。データは一般的な生成AIアプリケーションと、ビジネスとその顧客を真に理解したアプリケーションを分ける要素だ」(ヴァシ氏)
AWSでは現在、Amazon Bedrockの利用方法や使用例などを解説するトレーニングコースも提供中だ。
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