東京都市大学は、高いエネルギー変換効率と屈曲性を併せ持つ「ペロブスカイト/シリコンタンデム太陽電池」の作製技術を開発した。薄くて曲がるため、従来のタンデム太陽電池では難しかった場所にも設置できる。
東京都市大学は2023年9月19日、エネルギー変換効率が高く、薄くて曲げられる「ペロブスカイト/シリコンタンデム太陽電池」の作製技術を開発したと発表した。
同研究ではまず、ボトムセルとなるシリコンヘテロ接合太陽電池を薄くすることを目指した。裏面にテクスチャー構造を有する薄いシリコン基板のミラー表面に、光閉じ込めのための比較的サイズが小さい凹凸を形成した。その結果、ボトム側のシリコン太陽電池の厚さを83μm程度まで薄くすることに成功した。
続いて、この薄型シリコン太陽電池の表面マイクロテクスチャー上に、塗布法で厚さ1μmほどのペロブスカイト太陽電池を積層化した。これにより、薄くて曲げられるペロブスカイト/シリコンタンデム太陽電池を作製できた。なお、開発したタンデム太陽電池は、セル面積1cm2当たり26.5%と、高いエネルギー変換効率を達成している。
同太陽電池は、軽くて曲げられる特性により、重量の制約がある建物や湾曲がある屋根、ビルの壁面など、従来の太陽電池では難しかった場所にも設置できる。また、電気自動車(EV)などのモビリティへの搭載も期待される。
吸収できる光の波長域が異なる太陽電池を組み合わせたタンデム太陽電池のうち、従来のペロブスカイト/シリコンタンデム太陽電池は、変換効率が30%以上と高い。その一方で、使用するシリコンウエハーが200μm程度と厚いため、曲げることが不可能だった。
今後、研究グループは、35%以上の高効率と高耐久化を目指して界面パッシベーションの改善や両面受光構造の導入を進め、実用化に向けてペロブスカイト太陽電池の大面積形成技術を開発する。
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