図11にボールねじ、LMガイド、アンギュラベアリングを示します。これらの共通点はボールが組み込まれているところです。
ボールが組み込まれることで、1軸アクチュエーターの剛性はどうなるでしょうか。“ボールがある”ということは、部品間の接触は球と曲面の点接触です。点接触では接触面積が極端に小さくなっているため、局所的な面圧が大きくなり、簡単に陥没すること、つまり接触剛性(ばね定数)があまり大きくないことが予測されます。どの程度か試算します。図12に示すように、円柱と平面の接触と、2球の接触を比較します。
円柱と平面の接触は、剛体パンチの接触となり、円柱は剛体です。陥没量eと加圧力Pは次式の関係があります(参考文献[2])。
ばね定数を次式で定義します。
2球の接触は「ヘルツの接触理論」を使います。2球の接近量δと加圧力Pは次式の関係があります(参考文献[2])。
今回は球と平面の接触なのでRBは無限大とします。式3には球自身の弾性変形は含まれていないようです。ばね定数を次式で定義します。
円柱と平面の接触を普通の部品の接触(面接触)、2球の接触をボールねじ内の接触(点接触)と考えます。鉄鋼材料の材料定数を使い半径を3[mm]としたばね定数を計算したものを図13に示します。
ボールねじ内のボールの数は30個くらいでしょうか。30個で3000[N]の軸力を発生させるとすると(フレーキングが起こりそうですね)荷重Pは100[N]です。このときの両者のばね定数は約2桁違います。ボールを使った接触にすると、ばね定数が約100分の1になるということでしょうか。ボールねじやLMガイドのカタログに目を通してみると、ゴツゴツとした剛性の高いもののように見えますが、実は点接触なので剛性は見た目よりもかなり低くなります。
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