製造業におけるDXに関連する調査結果をみると、日本の製造事業者で事業に関わるデータ収集/利活用を行っている企業の割合は、大企業で約9割、中小企業で約6割となっている(図3)。
社内の部門や事業所をまたぐデータの管理/利活用をしているのは、大企業、中小企業ともに3割強にとどまる。さらに大企業、中小企業ともに3割強が「必要性は理解しているが、実施できていない」と回答している(図4)。
部門や事業所をまたぐデータの利活用を行う上での課題については、人材の不足や知識、各部門の理解の欠如といった回答が大企業、中小企業ともに多かった(図5)。加えて、中小企業においては、既存システムの刷新にかかるコストも負担になっている。
他社や他業種とのデータ連携/利活用については、半数近くの企業が必要性を理解しつつも実施できていない状況だ(図6)。企業間のデータ連携/可視化ができている製造事業者は2割程度となっており、企業の枠を超えたデータ連携/利活用が課題となっている。
ものづくり白書2023では、DXの取り組みの方向性として「事業の効率化」と「事業の創造」の2つを挙げており、DXに取り組むためには上記の方向性について、経営層などを中心に商品のサプライチェーンの全体工程(マーケティング、市場調査、製品企画、研究開発、製造など)を俯瞰し、自社の経営力向上に向けて、何を改善すべきか、課題やビジョンを定め、組織横断で取り組むべきだと指摘している。
日本の生産現場は、これまで高度なオペレーションや熟練技能者の存在によって、現場の最適化/高い生産性に強みを持ってきた。しかし、少子高齢化に伴う人手不足が進む今後は、現場の強みを生かしつつ、サプライチェーンの最適化に取り組み、競争力強化を図ることが重要だといえよう。
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