東芝デバイス&ストレージは、太陽光発電向けに2200V SiC-MOSFETを開発した。同デバイスの2レベルSiCインバーターは、3レベルSiインバーターより低損失で、2倍のスイッチング周波数駆動時でも消費電力が38%低い。
東芝デバイス&ストレージは2023年8月10日、太陽光発電(PV)向けに、2200V SiC(炭化ケイ素)-MOSFETを開発したと発表した。インバーターシステムの単純化や小型軽量化も期待される。
同デバイスは、既存のSiC-MOSFET製品をベースにドリフト層の濃度と厚さを最適化し、オン抵抗と耐圧のトレードオフを維持しつつ、PV向けに求められる宇宙線に対する高破壊耐量を有する。また、SBDの内蔵により、寄生PNダイオード通電による信頼性低下を抑止し、逆方向導通時の高信頼性も確認した。
今回開発したMOSFET素子をパッケージングしたオールSiCモジュールは、同等耐圧のSiモジュール(Si IGBT+Si FRD)に比べて、スイッチング損失が大幅に低下した。
また、このSiCモジュールを搭載する2レベルSiCインバーターは、3レベルSiインバーターより低損失で、2倍のスイッチング周波数駆動時でも消費電力が38%低い。これにより、ヒートシンクやフィルターなどの受動素子の小型軽量化も可能となる。
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