イオンネクストは、本格稼働を開始したオンラインマーケット事業「Green Beans」の物流拠点である「誉田CFC」を報道陣に公開した。
イオンネクストは2023年7月10日、同日から本格稼働を開始したオンラインマーケット事業「Green Beans」の物流拠点「誉田CFC」(千葉市緑区)において「Green Beansグランドオープニングセレモニー」を開催するとともに、同所を報道陣に公開した。当面は東京都の新宿区、渋谷区、千代田区、中央区、大田区、千葉県の千葉市、船橋市、習志野市を対象にサービスを提供し、今後1年間をめどに東京都の23区に加え、千葉県の市川市、浦安市、四街道市、八千代市、神奈川県の川崎市に展開を拡大する。現在、事前登録と一部地域の先行ユーザーを合わせて1万人強の会員となっており、首都圏の物流拠点の設置拡大と合わせて今後3〜5年で会員数を5〜7倍に伸ばしたい考えだ。
セレモニーには、イオン 取締役 代表執行役社長の吉田昭夫氏の他、千葉県知事の熊谷俊人氏、千葉市長の神谷俊一氏など多くの来賓が参加した。吉田氏は「イオングループのデジタルシフトの象徴的存在であるオンラインデリバリーのGreen Beansのサービスを開始する。オンラインでの買い物というと鮮度が心配という声があるが、徹底したコールドチェーンを作り上げることによって、リアルでの買い物よりも鮮度の高い野菜などの生鮮食品をお届けする。これは、誉田CFCに組み込まれたデジタル技術とロボティクスを最大限活用したバックアップがあって実現できている。イオングループとしては、リアルだけでなくオンラインでも顧客満足を追求していく」と語った。
2023年4月の発表を受けて、今回本格稼働したGreen Beansは、欲しい時に受け取れる「Ease(簡単)」、鮮度を徹底キープする「Reliability(信頼)」、わくわくする豊富な品ぞろえの「Choice(選択)」という3つの特徴を持ったオンラインマーケットサービスである。
中でもイオンネクスト 代表取締役社長のバラット・ルパーニ氏が最も強調したのは「Reliability」を象徴する配達後から1週間鮮度を保証する「鮮度+」の野菜である。同氏は「“ネットなのに新鮮”ではなく“ネットだから新鮮”と思ってもらえるように、コールドチェーンを徹底している」と訴える。
実際に鮮度+の野菜は、イオンネクストと生産者の間であらかじめ決めた基準で出荷を行ってから、誉田CFCでの入庫の際にも専門スタッフによる目利きで品質を確保している。その上で、ルパーニ氏が強調する徹底したコールドチェーンでは、産地から倉庫までのリードタイムを可能な限り短縮して配送時も低温を保った状態で運搬し、誉田CFCへの入庫後も外気の温度に触れる時間を最小限にとどめる形で倉庫に保管する。配送時も、Green Beansの専用トラックの冷蔵室内でコールドチェーンを保って、顧客の玄関口まで高い鮮度で届けられるようになっている。葉物野菜は温度変化によって鮮度が劣化することから、その温度変化が極力起こらないようにしているというわけだ。
さらに、鮮度+の包装材は、野菜の特性に合わせた「呼吸するパッケージ」など鮮度維持に最適なものを包装材メーカーと共同開発して採用している。誉田CFC内での保管期間も、1.5〜2日にとどめるように管理されているので、倉庫内で長期間保存されている心配もない。これらの取り組みによって、配達後から1週間の鮮度保証を実現している。
この他にも、冷凍食品で提供する愛媛県産の釜揚げしらすや高知県産のカツオのたたきなどの水産物は、しらすの釜揚げやかつおのわら焼きといった加工工程を水揚げから即座に行うなど、鮮度を高める工夫を取り入れている。
Green Beansのサービス開始時点の取り扱い商品数は約2万2000SKUとなっている。2024年2月までには4万SKUに増やし、1年後の2024年7月には誉田CFCの取り扱える最大量となる5万SKUとなる計画である。
また、Green Beansは、首都圏全域でサービス展開を拡大する方針であり、そのために物流拠点を増設していく構えだ。現在、東京都八王子市に2号CFC(顧客フルフィルメントセンター)を建設中で、3号CFCは5年後をめどに埼玉県内を予定している。誉田CFCのフル機能でスーパーマーケット50店舗分の規模になるが、八王子は同規模、埼玉は2倍程度の規模になる見込みだ。Green Beansは首都圏で200店舗規模のオンラインマーケットを展開することになる。
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