DMG森精機のITソリューションの開発を担うDMG MORI Digitalでは、新たに取得した西棟の運用を2023年4月から開始した。
DMG MORI Digitalは2023年5月30日、同年4月から運用を開始した西棟を報道陣に公開した。
現在の工作機械は加工の精度や速さの向上だけでなく、さまざまな機器とつながり稼働状況や設備の状態などを見える化し、工場全体の生産性を高めることが求められている。その中で重要な役割を占めるのが機械を高度化するソフトウェアだ。
DMG森精機では2023年から3カ年の中期経営計画において目指す姿として、MX(マシニング・トランスフォーメーション)を掲げている。MXに向けて、同時5軸加工機などによる工程集約化、ロボットなども活用した自動化、そしてDX(デジタルトランスフォーメーション)化が欠かせない。DMG MORI Digitalは、DMG森精機の100%子会社として工作機械などに使われるソフトウェアの開発を担っている。
DMG MORI Digitalの前身は、北海道大学の学生4人が1978年に創業したソフトウェアハウス「ビー・ユー・ジー」だ。1980年に法人化すると、ソニー初の8ビットマイコン「SMC-70」のBASICやMacintosh用ISDNルーター「ROUTE ONE」などを開発した他、組み込み開発の総合ブランド「Cente」も展開してきた。
その後、ソフトウェアの重要性の高まりを見越した森精機製作所(現・DMG森精機)と2008年に資本、業務提携を結び、工作機械の制御ソフトの開発を手掛けるようになった。2013年には森精機製作所の完全子会社になって社名もビー・ユー・ジー森精機となり、2023年1月にはDMG MORIグループとして事業ブランドの統一を図るためDMG MORI Digitalに社名を変更した。
現在は北海道札幌市内の札幌テクノパークに本社棟、制御開発棟、新たに取得した西棟を構えている。DMG森精機から出向している社員も含めて約200人が勤務し、エンジニアの9割は工作機械向けの開発に従事している。札幌の他、DMG森精機の伊賀事業所(三重県伊賀市)、東京デジタルイノベーションセンタ(東京都江東区)、京都オフィス(京都府京都市)で業務に当たるスタッフもいる。ドイツにある同名別会社のDMG MORI Digitalや、2022年に設立されたWALCとの連携も行われているという。
DMG森精機では現在、ポストプロセッサや切削加工シミュレーション、切削最適化機能を1つに統合したPCソフトウェア「CELOS DYNAMICpost」や、稼働状況をリアルタイムでモニタリングする「DMG MORI Messenger」、対話型自動プログラミングシステム「DMG MORI Visual Programming」などを展開しているが、ITソリューションの重要性は今後ますます高まる一方だ。
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