工場の現場改善を定量化する科学的アプローチを可能にする手法を学習する本連載。第2回は、レイアウト計画における課題改善の進め方とSLP法における各種分析手法の位置付けについて説明した後、「ものの流れ分析」で用いられる「加工経路(図)分析法」と「From-Toチャート分析法」を紹介する。
前回は、本シリーズ「現場改善を定量化する分析手法とは」の狙いと、工場のレイアウト計画の基本となるSLP(Systematic Layout Planning)法とその手順および第2ステップのPQ分析(Product Quantity Analysis)法、第3ステップ「ものの流れ分析」のうち工程分析(Process Analysis)法について説明しました。
今回は、まずレイアウト計画における課題改善の進め方について説明した後、SLP法における各種分析手法の位置付けを取り上げてから、前回紹介した、SLP法の第3ステップとなる「ものの流れ分析」で用いられる「加工経路(図)分析法」と「From-Toチャート分析法」について解説します。
レイアウト計画に関する課題は種々検討が重ねられ、その改善策や対応方法がいろいろな機会を通して報告されてきました。それらのレイアウト技法の多くは職場間の運搬コストをいかに最小化するかを目的としてきました。
しかし、昨今の情勢は、製品サイクルの短縮傾向、短納期化など生産環境の変化によってレイアウト技法への要求は運搬コストの削減のみならず、各種の生産効率を評価基準とした新たなアプローチが求められるようになってきました。そのような状況下で、レイアウト改善は、次に列挙する「レイアウトに関する共通的原則」にのっとり行われようになってきました。
作業者の満足感と、安全性の高いレイアウトを立案しなければなりません。
最善のレイアウトは、作業者、材料、機械設備、制約条件などを合理的に調整し、統合したものをいいます。
材料投入から完成に至るまでの物や人など、全ての移動距離や動作距離が最短となるようなレイアウトにしなければなりません。併せて、物の取扱量や重量も最小化を目標とします。
レイアウトの基本は、流れ形式で構成していくことが必要です。
平面的な効率にとどまるだけではなく、3次元的に空間の有効利用を考えたレイアウトを計画します。
最小の経費で、再配置や拡張が可能なレイアウトにします。例えば、将来予測の不確実性に伴って、拡張の可能性を織り込んでおかねばならないことがしばしば起こり得ます。その際、拡張後も基本的な流れ線が変わらないこと、拡張時の操業休止を避けること、という2つの条件を満足させる必要があります。継ぎ足ししたので不合理なレイアウトになったという多くの場合は、このような拡張性の要件を無視した事例が多く見受けられます。
レイアウトに関連する要因の全てのバランスを考慮して、スムーズな生産ができるレイアウトにすることが重要です。
SLP法を別の角度から考察することで、各種の分析手法との関係についてさらに理解を深められます。
工場のレイアウトは、構成している人や物、機械設備などの空間的な配列であるということができます。レイアウトは、その完成度の良しあしによって時間の損失が発生します。例えば、機械設備が計画通りに稼働せず、無作業時間や遊休時間などによって待機している時間が発生したり、人にムダ動作などが生じたりして、工場全体の生産効率に大きな影響を与えることになります。
そこで、レイアウトの計画を組織的、合理的に行う方法として企業に広く適用されているのが前回説明したSLP法です。このレイアウト計画には、“どのような製品を生産するか”“どれだけの量を生産するか”“どのような工程を組み立てて生産するか”“どのような補助サービスで生産を支えるか”“どのようなタイミングで生産するのか”などの要素を考慮します。
レイアウトの進め方について、SLP法の体系化されたプロセスはおおむね次の通りとなります。これらのプロセスは、基本レイアウト計画や細部レイアウト計画のいずれの場合にも適用します。
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