会見では好調な制御機器事業の成長力についても触れた。2016年度からスタートしたオムロン独自のモノづくり革新コンセプト「i-Automation!」に基づくソリューションビジネスは順調に拡大しており、採用社数は2016年度の約900社から2022年度には現場データ活用サービス「i-BELT」と合わせて3700社へと4倍近くに増加。制御機器事業に占める売上構成比率は16%から35%まで拡大し、売上高では年率22%の成長を見せているという。
辻永氏は「ソリューションビジネスの肝はリーディングカンパニーとの共創から始まる。ユーザーの本質的な課題解決に向けて、その現場でi-Automation!に基づいた革新アプリケーションをともに創出する。この革新アプリケーションは、われわれが保有する豊富な制御機器とソフトウェアを組み合わせたオムロンだけが実現できるものだ」と話す。
その共創過程でユーザーとの強い信頼関係が構築され、i-Automation!の導入だけでなく、他のサービスや製品の採用につながっていく。その結果、1ユーザー当たりの売り上げ単価が上昇していっただけでなく、収益性も高まり、採用社数の拡大に伴って制御機器事業全体の利益率が向上した。
ソリューションビジネスの拡大を支えるのが、ユーザーとの価値競争の拠点となるオートメーションセンター、ユーザーの課題を解決する革新プリケーション、モノづくりを熟知し、課題解決の提案、現場実装ができるオムロンのエンジニアだ。同社ではこれらを着実に強化してきた。「われわれのソリューションの質、幅が大きく広がり、より多くの顧客課題の解決ができる実力が身に付いた」(辻永氏)。
2023年度はi-Automation!の採用社数を4300社まで広げ、制御機器事業全体で売上高4900億円、営業利益880億円を目標に掲げている。
辻永氏は「今後の需要拡大を見込む市場に注力し、i-Automation!の導入を成長ドライバーに今期の増収増益を図る。成長のベクトルをより力強くする鍵は実行力にある。ビジネスと意思決定、実行のサイクルをハイサイクルに回すことで実行力を一段と高め、より大きな成長へとつなげていく」と力を込める。
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