タミルさんへの取材に続けて、ADAMの実地検証の現場も取材しました。
訪れたのは、千葉県の北東部に位置する山武郡横芝光町で、梨や米、野菜などを栽培されているアグリスリーさんの梨園です。梨園は観光農園「梨工房 城山みのり園」として運営されており、直売所の他、もぎり体験をすることができる農園となっています。
ADAMの開発に協力されているアグリスリーの代表、實川勝之(じつかわ かつゆき)さんは、実際の梨の収穫作業の工程を説明しながら、ADAMの改善点や要望を丁寧にフィードバックされていました。
普段の収穫作業では、「ポテ」と呼ばれるカゴに収穫した梨を入れ、満杯になったら台車やトラックに積んだコンテナに移し替えるという流れで作業しているそうです。
肩から下げているカゴが「ポテ」です。満杯時には約10kgの重さになります。コンテナを積んだトラックまでポテを運びます。
実際に梨を入れたポテを持たせてもらったありすさん。少し持っただけで肩が痛くなってしまったそうです。これを持ってコンテナまで何往復も歩くとなると、大変な重労働です。農家の方々のご苦労を実感しました。
いよいよ実際の作業に合わせてADAMを走行させてみます。現在のADAMは試作段階で、コントローラーで操作しています。しかし、ゆくゆくは人を感知して、距離を適正に保ちながら自動的についていくことができるよう開発が進められています。目の前の未来的な農業の光景に、思わず驚きの声が上がりました。
そして、普段使う台車の仕様や作業の様子も見せてもらい、負担が少なく作業がしやすい高さ、効率的に運ぶために1台に載せたいコンテナの数など、求められるニーズを隅々まで細かくヒアリングする姿が印象的でした。
2022年の春に試作機の第2号となるこのADAMを公開し、青森や千葉、愛知、福島などのりんご、ぶどう、梨などさまざまな農家でフィールドテストとインタビューを行ってきた輝翠TECH。凹凸や急斜面などの不整地、土壌の性質など育てる作物によって農地の特徴もさまざまなものがある中、ロボットの有用性と開発課題を確認してきたと言います。
今後は自動搬送だけでなく、草刈りや農薬の散布などの機能をオプションとして付け、年間を通して農作業に貢献できるロボットへと開発を進める予定とのことでした。
2024年には量産も目指しているということで、製造のパートナーとなってくれるものづくり企業も探されているそうです。
輝翆TECH株式会社
代表:タミル・ブルーム / Tamir Blum
本社所在地:宮城県仙台市青葉区荒巻字青葉6-6-40
事業内容:農業用AIロボット、画像認識、データサイエンス
会社URL:https://kisuitech.com/
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ものづくり新聞
Webサイト:https://www.makingthingsnews.com/
note:https://monojirei.publica-inc.com/
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