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» 2022年07月08日 13時00分 公開

モノづくりの技術で農業を変える、デンソーが進める食分野事業とはスマートアグリ(1/2 ページ)

生産から流通、消費に至るまで、デンソーが食分野への事業展開を強化している。2022年7月6日にオンラインで報道陣向けに開かれた説明会において、デンソー フードバリューチェーン事業推進部 フードバリューチェーン事業戦略室長の清水修氏は「自動車領域で培ったカイゼンや環境制御、自動化などの技術をフードバリューチェーンに展開したい」と意気込む。

[長沢正博,MONOist]
デンソー フードバリューチェーン事業推進部 フードバリューチェーン事業戦略室長の清水修氏 デンソー フードバリューチェーン事業推進部 フードバリューチェーン事業戦略室長の清水修氏

 生産から流通、消費に至るまで、デンソーが食分野への事業展開を強化している。2022年7月6日にオンラインで報道陣向けに開かれた説明会において、デンソー フードバリューチェーン事業推進部 フードバリューチェーン事業戦略室長の清水修氏は「自動車領域で培ったカイゼンや環境制御、自動化などの技術をフードバリューチェーンに展開したい」と意気込む。

リーマンショック機に始まった新事業開発

 デンソーではリーマンショック以降に新事業の探索を始め、農業も候補の1つとして取り組みが始まった。2015年には環境制御機器「プロファームコントローラー」を販売している。2017年には、「環境」「安心」「共感」をキーワードとする「デンソーグループ2030年長期方針」しており、中でも「安心」を構成する3本柱の1つに「働く人の支援」を掲げ、労働人口の減少が大きな課題になっている農業向けの展開も視野に入れた。その上で、長期方針と同時に策定した「デンソーグループ2025年長期構想」において、「電動化」「自動運転」「コネクティッド」に加えて「非自動車事業(FA/農業)」を注力分野に挙げ、本格的に動き出した。2020年にはフードバリューチェーン事業推進部の設立に至っている。

デンソーが目指す「安心」の3本柱に人そのものも含まれる(左)と、農業が抱える人にまつわる課題(右)[クリックして拡大]出所:デンソー
デンソーが農業分野で目指す方向性(左)と、提供するソリューションの数々(右)[クリックして拡大]出所:デンソー

 ただ、一口に農業と言っても稲作や畑作など幅広い。清水氏も「農業は幅広い。全ての分野をカバーできるとは思っていない」と認める。その中でデンソーが着目しているのが、ハウス栽培などの施設園芸だ。2020年にオランダの施設園芸事業者セルトン(Certhon)と資本提携を結び、施設園芸ソリューションを提供するデンソーアグリテックソリューションズを合弁で設立した。「箱の中で毎日のように作り、出荷するのは工場と何も変わらない。同じモノづくりとして、さらに効率的に、よいものに変えられないかと取り組んでいる。農業と工業を融合した技術開発を進めて、施設園芸の新しい在り方を追求していく」(清水氏)。

施設園芸と工場の類似点(左)と、施設園芸への具体的な取り組み(右)[クリックして拡大]出所:デンソー

 国内での取り組みはすでに進んでいる。2019年、創業100年超の浅井農園と合弁会社アグリッドを立ち上げ、国内最大級となる4haの大規模ハウスに収穫ロボットや収穫物の自動搬送、タブレット端末なども活用した生産管理システムなどを導入し、トマト栽培を行っている。連日のように見学者が訪れており、清水氏も「非常に新しい取り組みだと評価されている。何よりも、ほとんど退職者がいない。まるでデンソーの工場のように働いてくれている」と笑顔を見せる。そして、既存施設向けには温度や湿度、光などを24時間自動制御するプロファームコントローラーなどを販売、「静岡県や愛知県を中心に使われている」(同氏)という。

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