協働ロボットで心身のコリを解きほぐす、熟練指圧師の腕を力覚センサー活用で再現協働ロボット

青山学院大学 理工学部の知技能ロボティクス研究室は「Careテクノロジー東京'23 第6回次世代介護テクノロジー展」において、協働ロボットなどを活用した「ウェルビーイング増幅マッサージシステム」を展示した。

» 2023年03月24日 11時00分 公開
[長沢正博MONOist]

 青山学院大学 理工学部の知技能ロボティクス研究室(機械創造工学科 田崎良佑研究室)は「Careテクノロジー東京'23 第6回次世代介護テクノロジー展」(2023年3月22〜24日、東京ビッグサイト)において、協働ロボットなどを活用した「ウェルビーイング増幅マッサージシステム」を展示した。

協働ロボットなどを活用した「ウェルビーイング増幅マッサージシステム」 協働ロボットなどを活用した「ウェルビーイング増幅マッサージシステム」[クリックで拡大]

 精神的、身体的、社会的に良好な状態である「ウェルビーイング」を目指し、不安やストレスを和らげ、心身共に健康、幸福にするマッサージシステムとして製作した。マッサージベッドの周囲は枯山水をイメージしており、空間としての心地よさを意識している。 上部には2つのカメラが付いており、ベッドの上の人の骨格を検出し、各関節の場所から筋肉の位置を推定する。カメラが2つあるのは、ロボットによる死角をカバーするためだ。

 カメラから得た情報を基に、天吊りしているJAKAの可搬重量12kgの協働ロボット「JAKA Zu12」が動き、マッサージの動作をする。熟練のマッサージ師に圧力センサーやモーションセンサーなどを付けて動作を解析し、プログラミングを行った。単純に筋肉を押すだけでなく、筋肉をもみほぐす揉捏(じゅうねつ)、筋肉の表面を摩る軽擦(けいさつ)といった動作もロボットアームの動きによって可能になっている。

2つのカメラを用いて骨格検出し筋肉の位置を推定シンプルな指圧だけでなく揉捏(じゅうねつ)や軽擦(けいさつ)も可能だ 2つのカメラを用いて骨格検出し筋肉の位置を推定(左)と、シンプルな指圧だけでなく揉捏(じゅうねつ)や軽擦(けいさつ)も可能(右)[クリックで拡大]

 ロボットアームが体にかける圧力を捉えているのが、ハンド部分に搭載されているキヤノンが2023年4月に発売する6軸の力覚センサー「FH-300-20」だ。

 独自開発の光学式エンコーダーを用いており、厚さ20mm、質量250gという薄型、軽量を実現した。キヤノンにとっても今回のマッサージシステムはこれまでにない活用方法であり、同社としても今後は介護ロボットなどへの適用も目指していく。

コードがつながっている部分が力覚センサー手の平に載せると薄さや軽さが実感できる コードがつながっている部分が力覚センサー(左)と、手の平に載せると薄さや軽さが実感できる(右)[クリックで拡大]

 スマートウォッチと連携して生体情報も取得でき、心拍数が上がればベッドの横部分のLEDが赤色、低いと緑色に光る仕組みになっている。頭を埋める部分にもLEDがあり、ロボットアームの先端が体に近づくと明るくなり、体から離れると暗くなる。また、上部のLEDはロボットアームの圧力が強い時は明るくなり、弱くなると消える仕組みになっている。また、VRグラスを装着すると、俯瞰した状態のマッサージシステムが見ることができる。

VRグラスを装着すると没入感がさらに高まる[クリックで拡大]
「ウェルビーイング増幅マッサージシステム」のデモンストレーション[クリックで再生]

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