トルク定数が従来比2倍の小型モーター、コアード構造で巻線の占積率は70%以上組み込み開発ニュース(1/2 ページ)

OKIマイクロ技研が高トルクを特徴とする小型ブラシレスDCモーターの新製品「Thumbelina(サムベリーナ)」を開発。直径12×全長25.5〜27mmと単三電池よりも小型ながら、従来の同サイズ品と比べて2倍のトルク定数となる13×10mN・m/Aを実現した。

» 2023年03月23日 07時00分 公開
[朴尚洙MONOist]

 OKIマイクロ技研は2023年3月22日、東京都内で会見を開き、高トルクを特徴とする小型ブラシレスDCモーターの新製品「Thumbelina(以下、サムベリーナ)」について説明した。直径12×全長25.5〜27mmと単三電池よりも小型ながら、従来の同サイズ品と比べて2倍のトルク定数となる13×10mN・m/Aを実現した。ロボットハンドの指パーツの中に組み込めるサイズであり、多指多関節ロボットハンドの軽量化が可能になる他、既存のモーター活用アプリケーションでの置き換えなどを想定している。同月からサンプル出荷を、2023年度内に量産を開始する計画で、2025年度には年間5億円の売り上げを目指す。

OKIマイクロ技研の「サムベリーナ」 OKIマイクロ技研の「サムベリーナ」(中央)。減速機を装着した状態(右)で、単三電池とほぼ同じサイズになる[クリックで拡大]
「サムベリーナ」により約3kg(500mlペットボトル6本分)の負荷を持ち上げるデモンストレーション。ミューラボが開発したクラウン減速機、関節ユニットとの組み合わせで実現した[クリックで再生]
ボールねじを用いた市販のスライダーの動力源として「サムベリーナ」を適用したデモンストレーション。20mm角の減速機を用いることで最大可搬重量は20kgに達する[クリックで再生]
「サムベリーナ」を4本使用した小型マニュピレータのデモンストレーション。各サムベリーナをミューラボの関節ユニットでつなぎ、先端のつかむ構造はミューラボの三つ爪チャックを用いている[クリックで再生]

 OKIマイクロ技研 代表取締役社長の富澤将一氏は「当社のモーターやソレノイドは、OKIグループの主要製品であるATMや各種発券システム、現金処理システム、プリンタにOEM搭載されている。年間約100億個といわれる世界のモーター市場のうち80〜90%は大量生産品だが、当社が得意とするのは残り10〜20%の中量/少量生産品の領域だ。サムベリーナは、この中量/少量生産品の領域で、ロボットハンド向けのモーターに求められる、小型、軽量、高トルク、低消費電力といった要件に応えるべく2020年から開発してきた製品だ。今回開発に成功したことで、約2億円を投資して国内工場に生産ラインを整備して2023年度内に量産を開始する。2024年度には1億円、2025年度には5億円の売上高を目指したい」と語る。

会見の登壇者 会見の登壇者。左から、OKIマイクロ技研 代表取締役社長の富澤将一氏、同社 マーケティング開発部 開発課長の山口仁志氏、執行役員 統括部長 特機事業グループ/開発部の門間俊也氏。手に持っているのが「サムベリーナ」だ[クリックで拡大]
OKIマイクロ技研のモーター市場における強み「サムベリーナ」の売り上げ計画 OKIマイクロ技研のモーター市場における強み(左)と「サムベリーナ」の売り上げ計画(右)[クリックで拡大] 出所:OKIマイクロ技研
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