NTT東日本とNTT西日本は2023年3月2日、NTTグループが構想する光ベースの技術によるネットワーク構想「IOWN」の商用化サービス第1弾として「APN IOWN1.0」の提供を同月16日から開始すると発表した。
NTT東日本とNTT西日本は2023年3月2日、NTTグループが構想する光ベースの技術によるネットワーク構想「IOWN」の商用化サービス第1弾として「APN IOWN1.0」(IOWN1.0)の提供を同月16日から開始すると発表した。提供会社はNTT東日本とNTT西日本で、提供価格は約198万円となる予定。
IOWN1.0はユーザー間で100Gbpsの専用線を開設し、「OTN Anywhere」と呼ばれるAPN端末装置を介してE2E(エンドトゥーエンド)の光波長をユーザー間で専有できるようにする。これによって、APN端末装置を含めて従来比200分の1の低遅延と、揺らぎゼロの通信を可能にしている。APN端末通信を用いることで、約1.2μ秒の遅延測定精度と約8〜20μ秒の遅延調整機能を実現する。光通信サービスが利用可能なエリアであれば、日本全国どこでも利用できるという。
OTN Anywhereの提供価格は1台当たり645万7000円からとなる予定。
接続速度など通信品質の理論値を示すベストエフォート型ではなく、通信品質が保証されたギャランティ型のネットワークサービスとして提供する。装置やデバイス、ソフトウェアビジネスも既存のサービスとは異なる形態で提供するとして、プラットフォームビジネスとしても新たな挑戦を進めるとした。
また、IOWN1.0の後継となる「IOWN2.0」は2025年に開催予定の大阪・関西万博で披露する予定だという。IOWN構想はネットワークの電力効率改善を通じ、データセンターなどにおける通信時消費電力の低減を掲げている。IOWN2.0ではこうした低消費電力化を本格的に推進する計画だ。
IOWN1.0の想定ユースケースとしては低遅延性が求められるeスポーツやライブ、ショーなどでの双方向型リアルタイム映像配信などが挙げられる。特に配信では、4K/8K映像を圧縮、複号する必要がなくなるため、リアルタイムでの高画質映像伝送が可能になるという利点がある。
現時点で、IOWN1.0を利用する企業、団体としてはオラクル、アマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWS)、グーグル・クラウド・ジャパン、NVIDIA、三菱商事、理化学研究所、国立情報学研究所などの名前が挙がる。
報道陣からは、IOWN1.0のサービス価格が個人利用に適した水準にまで下がるタイミングを問う質問が出た。NTT 代表取締役 副社長の川添雄彦氏は、現状ではIOWN1.0の価格が高価であることを認めつつ「インターネットも最初期のサービスは非常に高価だった。その後、サービスが広がるにつれて低価格化し、新たな技術やビジネスモデルが生まれていった。同様のことがIOWNでも起きるだろう。普及時期は2030年頃を見込んでおり、場合によっては前倒しとなるかもしれない」と回答した。
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