住友ベークライトは、「第15回国際カーエレクトロニクス技術展」において、メモリー効果を持つとともに省電力な電子調光シートを披露した。
住友ベークライトは、「第15回国際カーエレクトロニクス技術展」(2023年1月25〜27日、東京ビッグサイト)において、メモリー効果を持つとともに省電力な電子調光シートを披露した。現在開発中の段階だが、事業化を目指して顧客や協業パートナーを掘り起こすために出展したという。
新開発の電子調光シートは、電流を流すことで透過率を制御するエレクトロクロミック方式を採用している。透過率80〜10%の間で、電流を調整することにより無段階で透過率を調整できる。透過率80%から、光を通しにくくなる透過率10%の状態にするまでの時間は約10秒だ。
最大の特徴は調光にかかる電力を大幅に抑えられることだ。まず、電子調光シートを含めた回路に通電しておくだけで透過率が低い状態を維持するメモリー効果を有しており、電力を消費しない。併せて、透過率を下げるときの消費電力が小さく、透過率を上げる場合には回路をショートする(通電を止める)だけで済むので電力を消費しない。消費電力0.1mW未満、電圧1.6Vで動作するので、ボタン電池や乾電池でも動かせる。
この他、3D形状などの曲面成形への対応、樹脂成形品としてのカラーバリエーションにも広く対応できるなどの特徴がある。「既存のエレクトロクロミック方式の電子調光シートを上回る特性がある他、1秒以下で透過率を変えられる液晶方式と比べても液晶材料などが入っておらず安全性が高いなどのメリットがある」(住友ベークライトの説明員)。
主な用途として想定するのは、HUD(ヘッドアップディスプレイ)、自動防眩ミラー、スマートグラスなどだ。展示では、スマートグラスをイメージしたモックアップで新開発の電子調光シートを紹介した。
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