業務に応じたカスタマイズも可能、クラウド型生産管理サービス「mcframe X」製造ITニュース

ビジネスエンジニアリングはSaaS型生産管理用クラウドサービス「mcframe X」を同年4月から段階的に提供開始すると発表した。また、同年6月にはカーボンフットプリントを算出するソリューション「mcframe 7 CFP」を提供開始する。

» 2023年01月19日 11時30分 公開
[池谷翼MONOist]

 ビジネスエンジニアリング(B-EN-G)は2023年1月19日、SaaS型生産管理用クラウドサービス「mcframe X」を同年4月から段階的に提供開始すると発表した。クラウドサービスでありながら自社に合わせたカスタマイズが容易な仕様となっている。また、同年6月にはカーボンフットプリント(CFP)を算出するソリューション「mcframe 7 CFP」を提供開始する。

ITベンダーに頼らずカスタマイズ可能に

 mcframe Xは同社のオンプレミス型生産管理用サービス「mcframe」シリーズのビジネスロジックをベースに開発されたサービスである。SCM(サプライチェーンマネジメント)領域の販売/生産計画や需給/購買/製造/品質/在庫管理、PCM(プロダクトコストマネジメント)領域での製品別の標準/予算/実績原価管理などを支援する。この他に海外展開への対応が可能である点や、他システムとの連携が可能な点、カスタマイズが容易な点などを特徴とする。1996年に発売してから現在までに、700社以上の導入実績がある。

 mcframe Xではクラウドネイティブなアーキテクチャを採用しており、システムの拡張性に加えてAPIによるシステムとの連携性を持つ。顧客とEDIを通じた連携を行う他、サプライヤーが必要な情報にアクセスするよう設定することも可能。社内の他システムとのファイル連携も行える。他社のクラウドサービスと連携し、mcframe X上で蓄積したデータを分析するといった使い方もできる。

 さらにクラウドサービスではあるものの、業務に合わせたカスタマイズも行いやすいシステム設計にしている。導入後に新しく帳票や管理項目を追加する場合でも、ITベンダーに依頼することなく自社で対応できる。UI(ユーザーインタフェース)も使いやすさも重視しており、ドラック&ドロップなどプログラミングレスな手法で自社の業務や運用方法に合うよう画面作成が可能だ。

カスタマイズ可能なクラウドサービス[クリックして拡大] 出所:ビジネスエンジニアリング

 またmcframe Xの特徴として、既存製品を単にクラウドサービス化したのではなく、UX(ユーザーエクスペリエンス)を起点にしつつサービス開発を進めている点が挙げられる。B-EN-G プロダクトコンサルティング部 部長 mcframe X プロダクトマーケティングマネージャの吉原一記氏は、「従来のシステムは、例えば生産管理部であれば購買部に購買依頼をする際には、システムに入力した依頼を目視で全権確認し、メールや電話などで連絡するという作業が必要だった。また依頼を受け取った購買部も、注文書のやりとりなどでメールや電話を使ってコミュニケーションを取るなど、システム外で必要な業務が多数発生していた」と説明する。これに対してmcframe Xでは、自動化リスクの低い業務は自動処理するといった機能の他、マイクロソフトのTeamsなどと自動連係しアラートを出すなどの機能で業務を支援できるようにしている。

サービスの運用イメージ[クリックして拡大] 出所:ビジネスエンジニアリング

 継続的な機能アップデートも実施し、例えば、テクノロジーや法規制の最新動向に合わせた機能更新や追加などが行われる予定だ。2023年の4月にリリースするバージョンはPoC(概念実証)版という位置付けで、製造/在庫管理などの機能に絞って提供する。その後、2024年度以降に生産計画や販売/購買管理などの機能を順次リリースしていく予定だ。

洗練された原価管理機能でCO2排出量を算定可能に

 mcframe 7 CFPは「mcframe 7」に製品単位でのCO2排出量算定機能を搭載したソリューションである。現在、GHG(温室効果ガス)プロトコルにおけるスコープ3への対応に製造業各社も取り組み始めている。mcframeシリーズの特徴を生かし、環境対策を意識したモノづくりを支援する。

 製造データを基にCFPの予実を可視化する他、PLM関連機能を活用して企画/設計段階からの環境負荷評価を行うこともできる。IoT(モノのインターネット)を活用したCO2排出量の実測可能だ。QCDと環境負荷軽減の対策にかかるコストのバランスを最適化するよう支援する。

mcframe 7 CFPで可能になる環境関連業務[クリックして拡大] 出所:ビジネスエンジニアリング

 CO2排出量は製品原価に排出量原単位を掛け合わせる形で算定する。B-EN-G 商品開発3部 部長 mcframe CFP プロダクトマネージャの行司正成氏は「まさに原価管理と同等の手法で求めることができるもので、mcframeの洗練された原価管理の計算機能がそのまま活用できる」と説明した。排出量の算定では一定期間の製品生産で排出されるCO2の予定総量(環境負荷予定計算)や、報告期間の途中でCO2排出量の実績総量について速報値を出す(CFP速報値計算)こともできる。

mcframe 7 CFPの機能イメージ[クリックして拡大] 出所:ビジネスエンジニアリング

 mcframeの環境対応の展望について、行司氏は「短期的にはまだ各社で開始したばかりの環境対応の動向を把握しながら顧客のニーズを製品に反映していく。中期的にはmcframeならではの強みを生かしたソリューションを展開する。長期的には環境対応が企業の競争力強化につながるということが明確になってきていると予測するが、こうした変化に対応できる環境ソリューションに進化させていく」と語った。

⇒その他の「製造ITニュース」の記事はこちら

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.