製造部門からは改良品が設計されたにもかかわらず、従来品で作りにくく品質確保が困難になっていたことが改良されていないケースがあります。要素技術で改良することが難しいこともありますが、製造時点で不具合として挙がり設計起因として判断した過去のトラブル内容(略して過去トラ)に対し十分に対策を実施しないまま埋もれてしまい改良品開発の要求事項として設計にフィードバックされてきていないことにも起因しています。
最近は老朽化した生産管理システムをDXに追随するために再構築したいといった話を大手企業から聞くようになりました。この話になるとよく出るのが、ERPパッケージによるビッグバン適用というアプローチです。グローバルでシェアの高いERPパッケージに業務を合わせて一気に全社に展開していくという内容となります。設備からつないだデータをIoTで自動収集し、集めた実績情報と計画情報を付き合わせてAI(人工知能)を使った需要予測により生産計画や生産順序の最適化計画を自動立案するといった話がポイントとなります。
しかし、実際に現場に入り込んで業務の実態を確認していくと、いきなりシステムを導入する前にまず、システムを動かすためのマスタ情報を整備する必要があると感じます。
ここで言うマスタ情報には、大まかに分けて2つの情報が含まれます。
IoTやAIをうまく活用するためには、前項に加えて次のマスタ整備も必要となります。
従来の生産管理において、月単位の計画を立てた後の日々の管理は人力に頼っていました。今後は、週単位⇒日単位⇒直単位で計画立案精度を高めていくとともに、需要の変動に合わせて自社、仕入先、物流拠点がどこまで変動に対応できるかの能力を把握しておく必要があります。
今回は、製品開発(現行品、新製品)における管理ポイントのその1として「製品開発における業務の流れ」「製品開発における問題と新たなニーズ」について説明しました。次回はその2として「製品開発におけるデジタル技術を活用した業務変革ポイント」や「部品表データベース構築の流れ」について解説します。
株式会社アムイ 代表取締役
山田 浩貢(やまだ ひろつぐ)
NTTデータ東海にて1990年代前半より製造業における生産管理パッケージシステムの企画開発・ユーザー適用および大手自動車部品メーカーを中心とした生産系業務改革、
原価企画・原価管理システム構築のプロジェクトマネージメントに従事。2013年に株式会社アムイを設立し大手から中堅中小製造業の業務改革、業務改善に伴うIT推進コンサルティングを手掛けている。「現場目線でのものづくり強化と経営効率向上にITを生かす」活動を展開中。
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