高い品質を特徴としてきたはずの国内製造業だが、近年は品質不正や重大インシデントなどの発生が後を絶たない。本連載は、品質管理の枠組みであるトヨタ式TQMと、製造現場での活用が期待されるIoT技術を組み合わせた、DX時代の品質保証強化を狙いとしている。第2回は、トヨタ式TQMの体系と管理上のポイントについて紹介する。
本連載は、品質管理の枠組みであるトヨタ式TQMと、製造現場での活用が期待されるIoT(モノのインターネット)技術を組み合わせた、DX(デジタルトランスフォーメーション)時代の品質保証強化をテーマとしています。
前回の連載第1回では、そのための基礎となる「品質保証強化の4つのステップ」について紹介しました。今回の第2回と次回の第3回では「トヨタ式TQMの体系と管理上のポイント」について解説します。
⇒連載「トヨタ式TQM×IoTによる品質保証強化」バックナンバー
TQMはTotal Quality Managementの略で、顧客が満足する品質を備えた品物やサービスを、適時に適切な価格で提供できるように、企業の「全組織を効果的、効率的に運営し、企業目的の達成に貢献する体系的活動」のことです。TQC(Total Quality Control)で唱えられた、組織全体として統一した品質管理目標への取り組みを「経営戦略へ適用」したものです。
TQMの特徴は、企業のトップが制定した「経営戦略」をブレークダウンして、「品質目標」「顧客満足度目標」まで落とし込んで全社的に展開することにあります。
トヨタ式TQMのシステムは大まかに次の2つに分かれます。
方針管理では、企業のトップが制定した「経営戦略」を、会社方針から部門長(工場長)方針にブレークダウンして、「品質目標」「顧客満足度目標」を含めた業務実施計画に落とし込み、事業を推進していきます。
ポイントは以下の3点です。
日常管理では、QCサークルや現場改善活動によって現場改善アイテムを抽出して、日常業務を遂行する中で改善活動を実施し、定期的(3カ月、半期、年度)に成果発表を行います。
ポイントは以下の3点です。
上記1.1と1.2の実施状況を社長診断(全社監査)で共有し、できたこと、できなかったことを精査した上で、業務実施計画の見直しを行い現場改善活動の継続につなげます。
製造業において、会社の全ての活動の結果は製造現場に現れるという考えの基に、会議室で決めた方針をただ現場に落とすだけでなく、製造現場を重視しボトムアップで現場の考え方や意見を経営に取り込んでいることが重要です。
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