PDMシステムには、基本的に可変形状を扱うようなデータ管理機能はありません。これは、筆者が使用経験のある「SOLIDWORKS PDM」や「COLMINA CADデータ管理(旧:PLEMIA Concurrent Design Manager)」以外のPDMシステムも同じだと考えられます。
以下は、筆者が考えた可変形状を扱う際のファイル管理アプローチ(構想案)です。
■ファイル管理 構想案
1.可動部ブロックと固定部レール、同様に、可動部ロッドと固定部シリンダーチューブをパーツとして別々に使用する
2.1.を前提に、可動部と固定部からなるサブアセンブリ構成を作る
3.SOLIDWORKSではコンフィギュレーションを使用し、複数のストローク状態をモデル化して、必要な状態をアクティブ化することで、アセンブリモデル化する
4.iCAD SXでは、ライブラリから利用したものを内部パーツ化することで、外部に存在するパーツデータとの連携性を持たなくする
※注:検証済みではありません。
これらの管理方法を考える際、
についても検討する必要があります。
例えば、直動部品であれば、ブロックを2D図面化する必要はありませんが、レールの長さが標準長さではない場合、追加工図面が必要になることがあります。また、3D CADアセンブリやPDMシステムから部品表を出力する際、末端部品まで漏れなく部品をリストアップしたり、部品表上で編集を行ったりするには、どのようなCAD構成であれば作業しやすいか、整合性を保てるかなどを考えなければなりません。
さらに、これらはデータ管理したい3D CADデータによっても異なります。SOLIDWORKSのコンフィギュレーションは、1つのパートファイルの中で、複数の形状表現が可能です。また、1つのアセンブリファイルの中で、上位アセンブリでコンフィギュレーションを定義し、配下のパートを、特定のコンフィグで配置する可変位置や可変形状を表現することもできます(残念ながら、iCAD SXにはこのようなコンフィギュレーション機能はありません)。
PDMシステムの基本機能を平たく言えば、「3D CADで作成したファイルやその構成のセーブとロードができる」というものなので、ここで可変形状や可変状態を管理するには、3D CADによるアセンブリ構成について検討すべきであり、それに応じたPDMシステムの管理方法を採用すべきだと筆者は考えます。
PDMシステムの基本
・○:1部品番号=1ファイル(単一形状)
・×:1部品番号=複数ファイル(複数形状)
3D CADによる設計手法について考える際、自社製品に適した構成管理のやり方を、PDMシステムの運用という視点からも見直す必要があるかもしれません。その際、「誰もが分かるデータとその管理」という目的を忘れてはなりません。次回は、「ファイル名」について考えてみようと思います。お楽しみに! (次回へ続く)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.