日系乗用車メーカーの2022年度上期の生産、回復が軌道に自動車メーカー生産動向(3/3 ページ)

» 2022年11月29日 06時00分 公開
[MONOist]
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スズキ

 インド市場の好調に支えられたのがスズキだ。2022年度上期のグローバル生産台数は、前年同期比25.9%増の160万5529台と2年連続のプラスだった。8社の上期の世界生産では最も好調な実績だ。コロナ禍前の2019年度上期との比較でも9.6%増と伸長し、本格回復の兆しを見せている。

 貢献したのが同社生産の6割超を占めるインドで、新興国向け輸出など半導体の使用が少ない車種の生産を増やすことで台数を確保した結果、同35.0%増と2年連続で増加し、上期のインド生産として過去最高を更新した。インドネシアなどインド以外の海外生産も増加した結果、海外生産は同29.7%増の115万4841台と2年連続で増加した。

 国内生産は、前年同期比17.3%増の45万688台と4年ぶりに増加した。前年が東南アジアからの部品供給難で大幅な生産調整を実施していた反動に加えて、中国でのロックダウン解除などにより部品供給が回復したことが奏功した。

 足元の生産も力強い。9月単月のグローバル生産台数は、前年同月比75.8%増の29万6546台と3カ月連続の増加し、9月として過去最高を更新した。上期同様にインドがけん引しており、同118.5%増と倍増。海外生産も同90.4%増の20万5863台と3カ月連続の増加で過去最高を更新した。国内生産も、同49.7%増の9万683台と5カ月連続で増加し、好調を維持している。

マツダ

 マツダの2022年度上期のグローバル生産台数は、前年同期比8.0%増の50万2873台と5年ぶりに増加した。7位の三菱自動車とはわずか1万5000台差で6位を保った。前年が自然災害や部品供給難などにより低迷した反動によりプラスを確保したものの、依然として半導体不足の影響が大きく、2019年度上期との比較では3割減にとどまっている。

 このうち世界生産の3分の2以上を占める国内生産は、同8.0%増の33万6544台と2年連続のプラス。中国からの部品供給不足などにより5月まで大幅に減少したが、6月以降は前年の反動もあり増加基調が続いている。車種別では、主力モデルの「CX-5」は同19.4%増と伸長したが、「マツダ3」が同42.5%減と低迷した。

 海外生産は、前年同期比8.0%増の16万6329台と5年ぶりにプラスへ転じた。国別では、タイが前年の反動や、グローバルでの生産拠点の調整により「マツダ2」や「CX-3」の生産が増加し、同122.7%増と倍増した。メキシコも同11.5%増で、さらに米国の新工場が純増となり、北米トータルでは同40.2%増と大幅な伸びを見せた。一方、中国は半導体不足やロックダウンの影響の他、「マツダ6」や「CX-4」の需要減退に合わせて生産調整を実施したため、同46.0%減と大幅減。中国で生産する5社で最大の落ち込みとなった。

 マツダも足元の回復が進んでいる。9月単月のグローバル生産台数は、前年同月比43.1%増の10万1365台と4カ月連続のプラスだった。このうち国内生産は同58.5%増の6万7064台と4カ月連続で前年実績を上回った。車種別ではCX-5が同91.3%増、「マツダ2」は同7倍超と大幅に増加。新型SUV「CX-60」も純増で、5494台だった。

 海外生産は、前年同月比20.2%増の3万4301台と4カ月連続のプラス。けん引したのがタイで、前年が半導体不足で操業停止を実施した反動で、同350.5%増と大幅なプラスとなった。北米も同94.5%増と急伸。メキシコが同59.1%増と好調だったことに加えて、米国新工場で生産する新型SUV「CX-50」の3483台が純増となった。ただ、中国は需要低迷による生産調整を実施。同61.4%減と厳しい状況が続いている。

三菱自動車

 三菱自の2022年度上期のグローバル生産台数は、前年同期比4.5%増の48万7342台と2年連続で増加した。国内生産は同6.2%増の20万7618台と2年連続のプラス。前半は中国からの部品供給が滞った影響も発生したが、徐々に解消していることに加えて、「アウトランダー」の新型車効果や、5月から生産を開始した軽自動車タイプの電気自動車「eKクロスEV」および日産「サクラ」が貢献し、プラスを確保した。

 海外生産は、同3.2%増の27万9724台と2年連続で前年実績を上回った。中国はロックダウンなどの影響で同30.7%減と低迷。主要地域の東南アジアは前年も好調だったが、主力拠点のタイが同1.5%増、インドネシアも同2.2%増と着実に台数を伸ばした。

 9月単月のグローバル生産は、前年同月比11.4%増の10万6671台と4カ月連続のプラス。このうち国内生産は同1.8%増の4万7433台と5カ月連続で増加した。eKクロスEVとサクラは受注が好調なものの、半導体など部品供給不足で生産調整を余儀なくされており、サクラに至っては10月末から受注を停止している。

 海外生産は、前年同月比20.6%増の5万9238台と4カ月連続のプラスだった。主力拠点のタイが同4.0%増、インドネシアが同17.7%増と伸長した他、中国も同44.4%増と好調だった。

スバル

 スバルの2022年度上期のグローバル生産台数は、前年同期比24.5%増の42万5421台と3年ぶりに前年実績を上回った。このうち国内生産は同29.9%増の28万2767台と3年ぶりのプラス。半導体不足など部品供給の影響が続いているものの、前年より改善している。なお、排気量1.8l(リットル)のエンジン「CB18」の不具合で4月から同エンジン搭載車の「レヴォーグ」「フォレスター」「アウトバック」を生産停止したが、輸出向けなどへ生産車種を切り替えたことで台数を確保した。海外生産は同15.0%増の14万2654台と5年ぶりにプラスへ転じた。

 スバルの9月単月のグローバル生産台数は、前年同月比138.7%増の7万3183台と3カ月連続の前年超えで、8社の中で最も高い伸び率となった。ただ、前年9月が半導体不足に加えて東南アジアからの部品供給不足が直撃。国内外で大幅な減産を実施した反動が表れた。コロナ禍前の2019年9月との比較では14%減にとどまっているのが実情だ。このうち国内生産は、同195.3%増の4万5792台と約3倍まで回復し、6カ月連続のプラスとなった。海外生産も同80.7%増の2万7391台と大きく回復し、2カ月連続で増加した。

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