デジタルツインを実現するCAEの真価

設計者CAEを活用した構造解析はじめの一歩デジタルエンジニアの重要性と育成のコツ(5)(3/4 ページ)

» 2022年11月21日 08時00分 公開

(2)ソルバー(解析実行)

 以上の項目の設定を終えたら、いよいよ解析実行となります。解析を実行する前にいま一度、設定内容を確認することを推奨します。単位や値、材料や境界条件、メッシュの設定など、間違いがないかを確認しましょう。CAEソフトは電卓と同じです。入力が間違っていると、当然出力も間違った答えが出ます。入力の間違いを防ぐには、厳重な確認が必要です。間違いがないことが確認できたら、設定したデータを保存し、解析を実行します。

 解析時間は、PCのスペックや設定条件によって変わってきます。数秒で終わるものから、数分〜数時間かかることもあります。解析時間はメッシュのサイズに影響を受けるため、最初はメッシュを粗くして要素数が少ない状態で計算して、設定条件に間違いがないかを確認し、その後、必要に応じてメッシュを細かくして精度を上げた状態で解析計算を行うことで効率良く進めることができます。

 また、詳細に設計したモデルを解析しようとすると、境界条件の設定、結果評価ともに非常に複雑になってしまいます。そのため、まずは単純な形状のみのモデルを使って解析条件を確認し、境界条件や結果が妥当かどうかを判断してみるとよいでしょう。

(3)ポストプロセッサ(結果表示)

 解析結果が画面に表示されたら、まずは変位から確認します。なぜなら、最初に計算で求められるのが変位で、そこからひずみが求められ、そして、応力が算出されるからです。つまり、変位が間違っていれば、応力も間違った値が計算されます。設定した荷重の方向に変位しているか、剛体移動を起こしていないかなどを確認し、変位が妥当であると確認できたら、ひずみや応力、安全率などを確認していきます。

 変位は、倍率が大きく表示される場合があるので、変位量を確認する際は、値に注目したり、倍率を合わせて確認したりして適切に評価します。想定外の変形が見つかった場合は、荷重や拘束条件、単位系、材料物性などに設定ミスがないかを確認し、必要に応じて修正して再計算を実施します。

 解析で評価する主な応力として、「ミーゼス応力」と「主応力」の2つがあります。ミーゼス応力は大きさしか持たないスカラー値で、延性材料での降伏応力と比較し壊れるか否かの判断が行えます。主応力は大きさと方向を持つベクトル値で引張応力か圧縮応力かを確認でき、コンター図ではなく、ベクトル(矢印)図で表示することで壊れようとする方向を確認できます。

SOLIDWORKSプリプロセッサSOLIDWORKS解析結果 図5 「SOLIDWORKS」のCAE画面。(左)プリプロセッサ(前処理)の画面/(右)解析結果の画面[クリックで拡大]
Fusion 360プリプロセッサFusion 360解析結果 図6 「Fusion 360」のCAE画面。(左)プリプロセッサ(前処理)の画面/(右)解析結果の画面[クリックで拡大]

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