情報通信研究機構は、光出力が8Wを超える、ワット級の深紫外LEDハンディー照射機を開発した。豚コロナウイルスを用いた実験では、30秒以下で99.99%以上を不活化できることを実証している。
情報通信研究機構(NICT)は2022年10月27日、光出力が8Wを超える、ワット級の深紫外LEDハンディー照射機を開発したと発表した。豚コロナウイルス(PEDV)を用いた実験では、30秒以下で99.99%以上を不活化できることを実証した。
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深紫外LED(発光ダイオード)は、強い殺菌作用を持つ深紫外光を発する。研究チームが開発した照射機は、この深紫外光の中でも殺菌性能が高い発光波長265nm帯の高強度深紫外LEDチップ技術を活用。出力を高めるため、20チップもの高強度深紫外LEDを高放熱実装基盤に実装し、室温、連続動作において、光出力が8Wを超えるワット級の高出力動作を可能にした。
この照射機を用いてPEDVに対する照射効果を評価したところ、直径30cm内のウイルスに深紫外光照射した場合、0.97秒で99.9%、3秒で99.99%のウイルスが不活性化した。直径100cmという広範囲でも、30秒以下でウイルスは99.99%不活化することが確認できた。
NICTは同年3月に、深紫外LEDが液体中やエアロゾル中の新型コロナウイルスに対して、高い不活化効果を示すことを明らかにしている。しかし、持ち運びが可能な小型照射機は光出力が小さく、有効範囲が限られるため、広範囲のウイルスを短時間に殺菌することが困難だった。
今回開発したワット級の深紫外LEDハンディー照射機は、病院や介護施設、学校、店舗、公共交通機関など、さまざまな場面での応用が期待できる。
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